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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
運命の紅
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……わかっていても、辛いなぁ」
神社の階段に腰掛け、膝を抱えるようにして顔を隠す。
別にお二人が嫌いな訳ではない。ここに来てからは周囲の目を気にする必要がなくなったからか、前以上によくしてくれていた。
だけど、それすらも打算的なものだと疑ってしまう自分が、如何に汚れているか。
幼き頃より現実を知った私は、過程を飛ばして大人になった。
子供時代なんて無きに等しい境遇は、未来への希望すらも吹き飛ばしてしまった。
子供から大人になる過程で思う、憧れや夢。そんなものはないという現実を誰よりも早く見てしまった私は、何事に対しても薄暗い欲望が絡んでいると考えた上で対応をしてしまう。
笑顔の裏に隠された薄汚い野心。善意の裏に隠された打算。誰の裏にもそういうものがあるという前提で答えを返していく。
純粋な善意―――そんな眩しい理想が虚像だと信じ続けなければ、心が折れてしまう。
だけど、ふと思わずにはいられない。
現状を打破するような大きな変革。現実を揺るがすほどの存在感。
それらを兼ね備えた、まるで物語の王子様のような存在を――――――
―――だからだろうか。
「な、なんですか!?」
突如、神社の中に轟音が走る。
立ち上がり、慌てて中へと入る。
そこには、屋根が崩壊し木屑とともに光が射す光景と、その余波でできた煙の奥に見える謎の影がある。
成人男性のような体躯のヒトガタだとすぐに理解した私は、警戒しつつも近付く。
―――この出逢いが、私の中にあるナニかを打ち崩したのだと。そう無意識の内に理解していたに違いない。そして―――
徐々に鮮明になっていく視界。
その先に待ちかまえていたのは、赤だった。
すべてを塗り潰すような存在感。ただそこに居るだけなのに、こうも私の心は彼に囚われてしまっている。
目が離せない。離すべきではないと、警告している。
この感情がなんなのか、自分にはわからない。
しかし―――これだけは確信して言える。
「………やれやれ。運が悪いな、君も、私も」
―――この出逢いが偶然ではなく、運命だったのだということを。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
間もなく屋根を穿ち地上へ着弾する。
その一瞬の観察でのみの判断だが、どうやら神社と思わしき場所に落とされたらしい。
どんな意図があってのものか、それとも適当に指定しただけなのかは不明だが、傍迷惑にも程がある。
投影魔術による修繕は可能だが、建築物そのものが培ってきた年季ばかりはどうすることもできない。
東洋の神秘に関しての知識は浅いが、古ければ古いほど神秘性が増すのは共通の筈。
そうなると、直せば済む問題ではなくなる。最
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