暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
番外之刻
東方春眠暁
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ラウマ植えつけられてるのが恥ずかしい。

「そうかもしれないけど、やっぱりこういった事はきちんとやっておかないと後で後悔するからね………」

「ったく、そんなみみっちい事考えるのなんて霊夢らしくないぜ?そんなわけで、暗い雰囲気なお前には朗報だぜ」

楽しそうに笑う魔理沙。この悩みのなさそうな楽観的な笑顔が疎ましくもあり、羨ましくもある。
魔理沙は魔法の森に住んでいるから、石段とは違い地面は元より自然で埋まるのが摂理にある土地である。桜の花びらがあろうと気に留めることもなく酒の肴辺りにでもしてそうだ。

「この桜だ、紅魔館でどでかい花見が行われるんだってさ。疲れた身体を癒す為にパーっと飲み明かすのがいいぜ!」

確かに、普段の私ならそんな誘惑になら迷わず食い付いただろうけど、今の私にとっての癒しは桜の花びらを視界に入れないこと。これが一番の治療法だ。

「遠慮するわ。ただでさえ見飽きた桜を肴に呑むなんて、とてもじゃないけどできないわ」

「別の場所から、かつ眺めるだけって条件なら世界が違って見えるかもだぜ?」

「桜を見れば境内の状況を思い出して気が気じゃなくなるでしょうね」

一瞬の静寂。やがて魔理沙は諦めたように肩を落とした。

「そっか………。ま、霊夢がいうならこれ以上は強要は出来ないな」

魔理沙にしては呆気ない引き際だった。何かある気がしなくもないが、問いただす気力も今の私には無い。

「御免なさいね、私の代わりに沢山楽しんでらっしゃい」

まるで母親みたいな発言だが、疲労困憊で悟りでも開いてしまったのかもしれない。

「あぁ、じゃあな霊夢」

箒の推進力で大きく空を飛び立ち、後腐れなく高速で去っていった。
彼女の向かった先は紅魔館があった方。ということは結構間も無くだったのかもしれない。
そんなことを考える。まあ、宴会の時間指定なんてあってないようなものなのだけど。

魔理沙が来たことで完全に掃除する気は失せた。まだまだ残っているが、今は寝て少しでも後に備えたほうがいいかもしれない。
箒を適当な場所に片付け、敷いたままの布団へとダイブする。
間も無く睡魔が訪れ、彼女は刹那の安らぎに身を委ねた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


突如の意識の覚醒。見慣れた天井を眺める程暇ではないので、とっとと起きることにする。すっきりした意識で外の景色を眺めると、日が傾いて夕方になりつつあった。
桜の雨は止んでおり、気のせいか境内に積もった桜が寝る前と大して変わっていない気がする。私が寝たすぐに収まったと言うのなら、なんという間の悪さだろうか。

魔理沙達は、未だに花見を楽しんでいるのだろうか。
人のことを言えた立場ではない
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