暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その壱
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 そういう訳で今では、昔ながらのギルド≪聖龍連合≫と最古参ソロ組≪無所属のスバル≫という二枚看板で攻略組の運営は成り立っている。

 客観的に考察すれば、成る程、俺は攻略組勢力のトップ一角を担っていると言えよう。しかし――俺はこの先の思考は口に出してみた。

「だからって俺達が偉くなったわけじゃないだろ。それにレベルが限界な俺達が探索に出るのが最も効率的さ。腕が鈍ってもいけないし、なんといってもこう、どっしりと椅子に構えるのは俺向きじゃないからな」
「へー、現場主義なのねぇ。だから軍曹って呼ばれているんでしょうけど」
「ああそういう理由なのか、その渾名……」

 SAO内でもそうだが、基本的に異名は『性格やプレイスタイルの分かりやすい情報』が含まれていないと強く浸透しない。そういう意味では、はて、俺の≪軍曹≫という呼び名は的確なのだろうか。

 例えば俺は――攻略チームのトップの一人で、現場主義で、スキル外戦闘技術を教える、ああホントだ。これでは軍曹というのも納得だ。 

 物思いに耽っていると、不意に目の前にスッと腕が伸びてくる。その藍色のコートを纏った腕は制止を意味していた。俺とアイのコンビにおいて、周囲の警戒は≪索敵スキル≫持ちの彼女の仕事だ。彼女が小声で「十二時、緑一、赤三、黄色一」と索敵情報を伝える。内容は十二時方向に、プレイヤーが一人、モンスターが三匹、NPCが一体という意味合いのものだ。

 足を止め、目線で情報を共有したことを報せて武器≪ラジャダ・ジャマダハル+21≫を抜く。耳を澄ますというアクションで≪聞き耳スキル≫を発動させ、周囲の音情報を探す。細い木の揺れる音、落ち葉が舞う音、崖に空気を叩きつける音、鳥の悲鳴、衣擦れの音、鞘から剣を抜く音、呼吸音。今のところ環境音しか聞き分けれない。

 そうすると、隣の少女の気の抜けたような声が鮮明に聞こえてきた。

「えぇっ!? モンスター溶けた! な、なに今の……」

 隣でうわわとでも言いそうな、驚愕満載の表情で目を細める。俺が首を傾げて横目を遣ると彼女は剣と盾を仕舞い、仕切り直しと言わんばかりに姿勢を正しコホンと咳払いを行い、右下辺りを指でトントンと叩くジェスチャーをしながら説明をした。

「最初のスキャンで敵影が三、人影が一、中立が一だったんだけど、二度目のスキャンで人影一中立一に変わったのよ。つまりモンスターが倒されたってことね。私としてはかなり不自然なんだけど」
「あー。どうだろうな、ここらへんはあんま敵影ないしモンスターも下位のものしかでなさそうだけどな。……いや、それでもここは最前線だからなぁ。難しい、かな」
「ざっと三秒よ? 貴方ならできる? (ちな)みに私には無理」
「さ、三秒は流石に……」

 SAOは無双系のゲームで
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