暁 〜小説投稿サイト〜
閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第13話〜貴族と平民と〜
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。彼の動体視力の高さに驚く一同だったが、そんなタイミングで装甲車両数台が下ってくる。中から出てきた領邦軍は、事情を訊くユーシスに砦への侵入者の報告をする。あの白銀のものかとマキアスが呟くと、今度は飛び去っていった場所を訊き、早々に装甲車を走らせて行ってしまった。速度はそれなりにあったので追いつくのは無理だろうが、この件に関して自分たちにできるのはサラへの報告ぐらいとの考えに至り、峡谷を下ることにした。

バリアハートに着き、依頼主たる貴族にピンクソルトを渡し終えたケインたちは、ホテルに戻ってシャワーを浴び、一息入れてから中央広場にあるユーシスの行きつけらしいレストランに繰り出す。舌が肥えそうなほどレベルの高い食事の数々に舌鼓を打った後、心地よい夜風に当たりながらB班の様子や領邦軍の大幅な軍備増強、その根幹にある貴族派・革新派の対立について語らった。

「ファミィ。お前は母の所に戻るがいい・・・積もる話もあるだろう」

「えっ?でも・・・」

「支配人になら話は通しておいた」

ホテルに戻り、レポートにある程度の目途が立ったところで部屋に戻ろうとしたファミィをユーシスが呼び止める。彼の言葉に少々考え込むそぶりを見せたが、答えは決まっていたらしい。

「分かった、そうする。それとユーシス・・・色々、ありがとね」

「お礼を言われるようなことは何もしていないが?」

「う、うるさいわね!私がお礼を言うなんて珍しいんだからありがたく受け取りなさいよ!!」

「・・・分かったからとっとと行くがいい」

「な、何なのよその態度は!?」

恥ずかしさに頬をほんのり赤く染めながらユーシスに詰め寄るファミィ。そんな二人の仲好さげなやり取りを見て、ケインとマキアスは無言で頷き合う。

「あーコホン。もう夜も遅いみたいだな」

「こんな時間に女の子を一人で外に出すのは気が引けるよな?
・・・ああ、どこかに頼れる貴族紳士はいないのかな〜?」

「そ、それもそうね・・・ユーシス!アンタが一緒に来なさいよ!」

「・・・は?どうして俺が?」

マキアス・ケインの大根役者レベルの棒読み台詞を聞き、ファミィは即座に嫌そうな顔をしているユーシスを気にも留めず指名してホテルの外に連れ出していく。

「き、貴族の義務を果たしてくるがいい、ユーシスよ」

「アルバレア家の名に恥じないようにしっかりエスコートし、してきたまえ」

口角を吊り上げ、震え声になりながらも恨めし気にこちらを見るユーシスに見送りの言葉を告げるケインたち。外から何やら喧噪が聞こえてきたが、残りの面々は気にも留めず振り向きもせずにホテル部屋へと戻った。しばらくして、ぐったりした顔で部屋に帰って来たアルバレアの某ご子息様は、どこか吹っ切れているようにも見
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ