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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
08
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らには五千円もあるのだ。
 モモは意気揚々とガラスのドアを潜り、店内に踏み込む。
 中はそこそこ混雑しており、特に学生の客が多い。
 どう振る舞えばいいのかは、坂崎から学習済みだ。
 モモは数人並んでいるレジの最後尾に着いて、前の客が掃けるのを待つ。
 その間にモモの後ろに男性客が並んだ。ついに列の中に組み込まれた事に謎の感動を覚えつつ、モモはレジの後ろに張られたメニュー覧を眺める。
 やはりここは、王道にして全ての礎たるハンバーガーだろうか。いやしかし、チーズバーガーと言うのも美味そうであるし、てりやきバーガー何ていうものもある。
 思案している間に、モモの番が来た。
 レジの向こうにいるのは長い髪を三つ編みにした女性店員だ。

「いらっしゃいまセー、店内でお召し上がりでしょうカー?」

 言葉に訛りがある店員だ。外国人だろうか。
 モモは首をカクカク縦に振って、

「えっと……」

 再び考え込む。まだ何を食すか決めていない。
 こういう時、どうすればいいんだろうか。蔵馬ならどうするだろうか。
 モモは頼れる担当官の言葉を思い出す。
 『モモ、怪しいと思った所はとりあえず全部撃て。たぶんどこかにゲリラがいる』
 なるほど、つまりこういうことだろう。

「これと、これと、これと、これ、あとこれも全部ください」

「えと、全部ですカ? 多いですヨ?」

「大丈夫です。よろしくお願いします」

 言って、折りたたんだ五千円を差し出す。店員もそれ以上は何も言わずに注文を通した。
 数分後、モモが頼んだ商品各種がトレイに乗って来た。
 ハンバーガーにチーズバーガーにてりやきバーガーにポテトにオレンジジュース。完璧だ。これだけ買って、まだ四千円近く残っている。やはり自分の買い物スキルは天性のものがあるに違いない。モモは鼻高々になって、トレイの上の物を食する席を探して店内をうろつく。
 疎らに埋まってはいるが、空席もいくつか見受けられる。
 もっとも近くの空いている席に、モモは腰を下ろした。
 そこは椅子が向かい合った二人用席の通路側。
 壁側のソファー席には既に、茶色く毛染めしたセーラー服姿の少女がおり、スマートフォンから突如現れたモモに顔を上げて、目を丸くしていた。

「……あんた誰?」

「私はモモです」

 少女に問われ、モモは素直に名を答える。

「そう、モモね。そんで、何でここに?」

「? ご飯を食べに来ました」

「いやそれは分かるって。そうじゃなくて、何でその席に座ったの? あたしに何か用?」

「あれ、マクドナルドって空いてる席に座っていいんですよね?」

 もしかして、自分の知らないマクドナルドルールが存在するのだろうか。席に座った後のことは坂崎
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