第7話 壊レタル愛ノ夢(後編)
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耐えきれず振り向いた。
桑島メイミは立っていた。
美しい少女の姿で、陸と灯台を結ぶ続く細い道に、まっすぐ立っていた。
「自分が守護天使を持っていないから? 当事者にならなきゃわからないもの。そういうものよね。私も自分が戦争で死ぬまで、自分が戦争で死ぬとは思ってなかったし」
「……どういうことだ?」
「私は思いだしたの」そして、独り言のようにもう一度、「全て思い出したの」
「何を」
「終わり」
かさかさに乾いて、白く皮の浮いた、紫色の唇だけが、視野の中で動いた。
「これまでの時間は、天がくださった慈悲であった。あなたは有意義に過ごせた?」
クグチは尋ねる。自分の声が遙か遠く聞こえる。
「何が、終わりなんだ?」
これは現実だろうか。
現実など実在するのだろうか。
これは夢だろうか。
彼女は実在するのだろうか。
「愛の時間が終わる」
見えるの。
誰かが、答えた。
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