第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
リー
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た。リーがばたりと倒れた。
ガイが慌てて飛び降り、紅、ハッカ、アスマもそれに続く。それぞれの得意技の用意をしている上忍たちの姿に、我愛羅は目を細め、ついで急に襲ってきた頭痛に頭を抑えた。
「何故……!? 何故、助ける……っ!」
「こいつは……愛すべき、俺の大切な部下だ……っ」
愛。
その言葉を額に刻んでおりながら、それは我愛羅にもっとも程遠い言葉であった。兄と姉と上忍たちが駆けつけてくる、その声すら遠い。我愛羅の目にはガイも紅もハッカもアスマも、誰も見えない。見えるのはただ倒れたリーと、そしてたった今病院の上から飛び降りてきた少年が抱えたマナだけ。
自分を唯一傷つけることの出来た二人だけ。
我愛羅はゆっくりと立ち上がった。砂が瓢箪の形を取り戻していき、我愛羅は身を翻して歩き出す。歩くのがこんなにしんどいのも初めてだった。テマリとカンクロウが慌てて後を追う。
「おい、我愛羅!?」
「やめだ」
「やめだ、って……」
何をいっているのよ。そんな想いを抱きつつ我愛羅を目で追っていたサクラといのは、不意にシカマルの驚愕のうめき声に振り返った。
四人の上忍が振り返り、我愛羅もまた、振り返る。ざわめきが広がる中、リーが。真っ赤な血を垂らしながら立ち上がってきていた。
足も腕もがくがくと震え、血が小川になってその肌を垂れ落ちていく。それでもリーは、そこに立っていた。
「リー、もういい。お前はもう戦える体じゃない……」
言いかけたガイは、言葉を失い、そして震えながら涙を流した。ハッカが不審そうにリーの顔を覗き込み、そして同じく言葉を失う。
リーは気を失っていたのだ。気を失って、それでもなお彼は、忍道を証明するため、そして仲間を守るために立ち上がったのだ。
「リーよ。お前はもう、立派な忍者だ」
ガイがそっと気を失ったリーを抱きしめる。我愛羅は暫くそんな様子を見つめていたが……しかし、身を翻して歩き始めた。
+
「子供同士の戦闘とは思いがたいくらいでしたね……特に、こんな平和な時代の子供の戦闘だとは」
「……ああ」
鬼鮫もイタチも、生まれた時代はさして平和ではなく、そして双方その才能から早くして戦いに参与し、そして仲間を手にかけてきた。同胞殺しの二人と、鬼鮫はイタチと初めてあったときにそう皮肉った。なんら間違いはなかった。
「一旦、引き返すぞ。ここには三忍の自来也もいるし、あっちには三代目火影もいる」
火影邸の屋上に立つ影に一瞥をくれて、イタチはそう言った。鬼鮫は頷き、二人はそこから一時引き返す。ちらりとイタチが視線を寄せた先、リーの体が担架に乗せられ、運ばれていった。
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