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ソードアート・オンライン〜十一番目のユニークスキル〜
唯一無二の不確定因子
第二十話 罪滅ぼし
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った、なんて言えない。もしまたこうゆう場面に遭遇したら俺は・・・・・・

 キリトは申し訳なさそうに視線を逸らした。クラインはそんな親友の様子から全てを悟ったのか顔を曇らせると、踵を返して仲間に合図をした。そのまま部屋の奥にある大扉の方に歩いて行く。そして扉の前で立ち止まると、振り向いてチラッとキリトを見る。

「・・・・・・せめて、クリスマスの時のようなことは繰り返さないでくれよ」

 クラインはそう言い残すと、扉を開けて仲間と一緒にその向こうへ消えていった。
 キリトはどこか寂しげな雰囲気を漂わせるその後ろ姿に心を痛めていた。そんな中、軍のプレイヤーたちが座り込んだままのキリトとアスナに深々と頭を下げ、部屋を出て転移結晶で次々とテレポートしていく。だだっ広いボス部屋にキリトとアスナだけが残された。
 キリトはクラインが別れ際に残した言葉を深く噛み締めていた。

 ――――クリスマスのように、か・・・・・・。アリスは、大丈夫だろうか。彼女が俺と同じ轍を踏むとは考えにくいけど、あんなに取り乱した姿を見るのは初めてだ。もしかしたらがあるかもしれないな・・・・・・

 彼は自身の肩に頭を乗せたままのアスナに囁いた。

「アスナ・・・・・・アリスの元へ行こう。そして、二人でアリスのことを支えよう」 

 その囁きにアスナは無言で頷く。了承したのを見て、彼は心の中で誓いを立てた。

 ――――俺一人じゃ無理でも、アスナとなら支えられる気がする。いや、支えて見せる。それが俺にできる唯一の罪滅ぼしだ・・・・・・


 ◆


 その頃、アリスはふと何かを思いだしたかのように、おもむろに転移結晶を取り出すと、微かな声でこう呟いた。

「転移・・・・・・コラル」

 アリスの体が青白い光に包まれ、指定された街に移動する。そのまま彼女は街の入り口へと、ゆっくりと歩いていった。まるで鎖にでも繋がれている足を引きずっているのかと思わせるほど重い足取りで。






大切なものは

失っても心の中からは決してなくならない――――

ただ壊れて

破片となって心に残り続ける・・・・・・



心に残った破片は

心臓を貫き

その人間を壊す・・・・・・





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