第七章
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「それでアウトで」
「試合終了って」
「しかもこれでソフトバンクの勝ちで」
「ソフトバンク日本一」
「阪神負けたからね」
「幾ら何でもこれはないんじゃないか?」
こう言うので精一杯だった。
「というかこんなの前代未聞じゃ」
「そうよね」
「だから何でこうなるのか」
「いや、考えてなかったわ」
こうした結末は、というのだ。
「もう何ていうかね」
「負けるにしても」
「ちょっとね」
「ないよ、これは」
寿は呆然としたまま妹に言った。
「こんなのはじめて見たよ」
「私もよ」
「秋山監督胴上げしてるけれど」
「和田監督抗議してるじゃない」
審判団にだ、歓喜に沸くソフトバンクナインの横で。
「何ていうか対象的ね」
「うん、天国と地獄っていうか」
「衝撃の結末になったわね」
「もう何て言っていいかわからないよ」
「それでどうするの?これから」
千佳は寿に問うた。
「いつも勝っても負けても大騒ぎして外に飛び出してダッシュでランニングに出たりバットで素振りをしまくるけれど」
「いや、今日はね」
実は彼にとって最高のストレス解消、そして体力錬成になっていたりする。シーズンオフでも毎日デイリーを読んでいるのでそうなっている。
「いいよ」
「いいって?」
「お風呂入ってビール飲みまくって寝るよ」
「自棄酒?」
「うん、そうするから」
「もう怒ったり喜んだりする元気もないのね」
「ないよ、普通に負けるのなら納得出来るけれど」
今の様な負け方ならというのだ。
「もうね」
「がっくりきた?」
「いや、もう何て言っていいかわからないから」
だからというのだ。
「もういいよ」
「そうなのね」
「じゃあお風呂入るから」
そしてビールを飲んで寝ると言ってだ、寿は席を立った、テレビではソフトバンクの日本一を喜ぶナイン達が満面の笑顔でいて千佳はその双方を見てからだ。
リビングでくつろいでいる母にだ、こう言った。
「私お兄ちゃんの後で入っていい?」
「お風呂ね」
「うん、そうしていい?」
「いいわよ、じゃあお母さんが入って」
「最後お父さんね」
「そうなるわ」
日常の話をしてだった、一旦自分の部屋に戻って勉強したのだった。野球が終わった後はそちらであった。
今度こそ勝った 完
2014・11・29
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