第九章
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第九章
「何なんだよ、一体」
「何かあったのは間違いないわよね」
とりあえずそれはわかるのだった。
「昨日そっちは大変だったみたいだな」
「よくわからないけれど」
「聞くな」
「何でもないから」
彼等は自分達のことについてはこれ以上語ろうとしなかった。口を貝殻のようにさせてそのうえで忌々しげな顔をしているだけであった。
「それはそうとよ」
「あんた達は上手くいったみたいね」
「ああ、俺達のことかよ」
「そうよ」
二人はそれぞれのクラスでそれぞれにこりと笑ってみせた。
「大成功だったぜ」
「デートってあんなに楽しいものなのね」
まさに大雨が降る直前の曇り空の友人達に対して二人の笑顔はまさに雲一つない快晴であった。太陽が燦々と照ってさえいる。
「また今度も行くからな」
「もう今から楽しみだわ」
そしてその笑顔で友人達に語るのであった。
「早速計画してるんだよ」
「あのアクセサリーショップは外せないとして今度は何処行こうかしら」
パートーナーはその場にいないのにそれでもおのろけに入っていた。
「なあ。何処がいいと思う?」
「よかったらアドバイスして」
「知るか」
「勝手にやったら?」
その二人に対する友人達の返答はこんなものであった。
「自分でな。勝手に決めろ」
「二人だけで楽しんだらいいじゃない」
「あれっ、前と言ってること違うじゃねえかよ」
「どうしたの?おとついまでと言ってること違うわよ」
二人はそんな彼等の言葉にきょとんとした顔になって言い返した。
「あんなに色々言ったのによ」
「どうしたのよ。急に」
「何でもねえよ」
「気にしないでいいから」
彼等はここでも憮然とした顔で返すだけであった。
「別にな」
「あんたには関係のないことだし」
「!?何かわからねえけれどよ」
「じゃあそれでいいわ」
二人も何が何なのかわからないままその言葉を受けた。
「じゃあ次のデートの計画はこっちでな」
「考えておくわね」
「わかったさ。ったくよお」
「こういうのは何も言わないのが一番なのね」
能天気なまでにはしゃいでいる二人とは全くの正反対で彼等は憮然としていた。何はともあれ二人のファーストデートは最高の形で終わりそのまま楽しい恋路を二人並んで歩きはじめていた。周りは余計な災難というか自業自得の結果となってしまったが。
ファーストデート 完
2009・6・28
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