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ファーストデート
第六章
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第六章

「ああ、打った打った」
「やっぱり金本よね」
 瞬も梓も試合を見ながら楽しく笑っていた。今丁度金本が打ったのだ。
 そうしてランナーが帰っていた。阪神の先制点であった。
「よし、このままいけよ」
「新井がここでホームラン打ってくれれば完璧よね」
「そうだよね。けれどなあ」
 しかしここで瞬はぼやいた顔で同じ様にぼやいた声を出した。
「最近あいつなあ」
「調子悪いわよね」
「それが困るんだよ」
 新井について話をするのだった。
「打ってくれたらいいけれどな」
「追加点でね」
 そんなことを言いながらも試合は楽しんでいた。そうして最後まで試合を楽しみ球場を後にする。試合は結局引き分けに終わってしまった。
「やれやれ、まあ負けたよりはいいな」
「そうだよな」
 マリーンズサポーター達もこんなことを言いながら引き揚げている。中には球場のゴミをせっせと掃除している者までいる。
 そしてその中を男連中も女連中も歩いていた。試合が終わったので二人も帰るであろうからそれを追いかけていっているのである。
「おい、見えるか?」
「ああ、あそこにいるな」
 男連中がまた望遠鏡を出して見ていた。二人をそれで確認したのであった。
「今出ようとしてるぜ」
「そうか。じゃあ俺達もな」
「行こうぜ」
 こう言い合いながら球場を後にする。それは女連中もだった。
「次何処だったかしら」
「確かショッピングよ」
 梓に言ったそのデートコースの確認をしちえた。
「だから今度はね」
「商店街ね」
 こんな話をしながら赤ら顔で球場を出るのだった。足は結構ふらふらしていたがそれでもそのまま球場を出た。そうしてまた二人をウォッチしていくのであった。
 二人はそのデートコースを忠実に歩いていた。男連中も奇遇にも瞬に対して球場の後はそのすぐ側にある商店街に行くように行っていたのである。
「そうそう、そこな」
「その店に入ればいいんだよ」
 丁度二人がアクセサリーショップに入ったのを見て言うのであった。
「わかってんじゃねえか」
「勉強してもらった介があったわ」
 こんなことを言いながら商店街の陰に隠れて見ていた。なおそれは商店街の人達から丸見えで皆それを見て眉を思いきり顰めさせていた。
「何やってんだこの兄ちゃんと姉ちゃん達は」
「探偵ごっこか?いい歳して」
「ああ、少年探偵団だよこの人達」
 また随分と古い話が出た。
「それなんだよ」
「じゃあ二十面相は何処なんだ?」
「四十面相だろ、御前そりゃ」
 とにかく変なことをしているのであった。しかし相変わらず本人達に自覚はない。その自覚がないまま店の中も覗く。商店街の人達はそんな彼等を見てさらに言うのだった。
「そこに二十面相がいるみたいだな」
「千面
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