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命の荒野
第1話 降り立つ、客人
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ェント?またまた、そういう日本式の考えは古いとか、軍は引っ込んで民間に任せろとか、そういう左巻きな事を言って回る「国際人」のお出ましじゃあないだろうな、と仲嶋は密かに警戒した。日本でも最近増えているのだ、閉塞した母国に見切りをつけたのか、自ら日本人を捨てたような連中が。

「近々、この基地も生産拡大の為に動員をかけますし、更なる支援事業が必要だと政府は踏んだんでしょうね。民間人ですが、政府の息のかかった、つまり査察官と変わりません。丁重にお出迎えをお願いします。」
「了解しました。すぐにでも出発します。」

仲嶋は隊長室を出て、基地格納庫へと向かった。


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「ええ〜、またバルスタンの支援拡大するんっすか〜?もうこれまでも散々やってきたでしょ〜、給水に医薬品、道路の補修とか」
「ガス生産が軌道に乗って、これから更に基地が大きくなるんだ。今だって、よそから見りゃ俺たちの基地なんて日本軍の要塞だぞ?快く思わない奴も居る。だからそれくらいの機嫌はとらないとな。」
「まあ良いですけどね〜。僕ら航空隊はそんな事しなくて良いし。でも、仕事が増えて重岡中尉の機嫌がまた悪くなりますよ〜。あの人そもそもが外人嫌いなのに〜。」
「そればっかりは、しょうがないな」

眼下のガンナー席で間の抜けた声でブー垂れているのは、岡田辰起准尉。ひょろっとした長身で、色が白く、少しとぼけたような所もある男だ。最初バルスタンに来た時は暑さにすっかりやられていたり、少し人格的には頼りないが、しかしいざ実戦になると、強力な兵装を果敢に使っていく意外と積極的な所を見せてくる。

仲嶋と岡田が乗っているのは、回転翼機の「閃電」である。機体上部の固定翼の両端にエンジンと共に回転翼が設置されており、今は巡行モードで回転翼が前を向いているが、このプロペラは垂直の角度まで可変させる事ができ、ヘリコプターのようなホバリングも可能である。胴体には兵員輸送用のキャビンがあり、また固定翼下にはミサイルポッド、機首にはバルカンなど設置され、輸送力と攻撃力を両立した、まさに器用貧乏のティルトローター機である。攻撃機と輸送機を別々に用意する金のない日本陸軍が貧乏性を発揮して作った機体だ。この仲嶋の愛機も、既に何度も実戦に参加している。地方ゲリラくらいなら、携行ミサイルにだけ気をつければ重武装で押し切れる。そうして、バルスタン基地の安全を守ってきた。

「あ〜、たまには可愛い女の人でも来ないかな〜」
「何を言ってるんだ、鹿本中尉すごく可愛いだろ。贅沢言うなよ、あんな美人がこんな辺鄙な所に1人居てくれるだけでも有難いんだから」
「鹿本中尉は可愛いですけど、そろそろ別の顔が見たいで
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