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乱世の確率事象改変
乱れ混じる想いに
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見て聞いてしまえばその通りだと思えたが為に。
 強い新兵器の使用は既存の戦を捻じ曲げる。彼の故郷の歴史で例えるなら火の国の天魔王がいい例だ。件の武器の本当の恐ろしさを知るのは彼だけだが……今回の兵器だけ見ても、この世界には有り得ないモノであった。
 投石器はもっと昔からこの大陸や外にあったはずなのに、この乱世に於いては何処も使っていなかったと聞く。それがどういう事か、分からない彼では無い。
 秋蘭は少し危うさを感じる。既に彼はこの戦の事を見ていない、そう思った。

「……徐晃、あまり先を見過ぎるな」

 思わず咎めた。
 先に思考が引き摺られ過ぎると足元が厳かになる。目の前に落ちている重要なナニカを見落としてしまう。
 少しだけ顔を横向けて、秋斗は秋蘭と目を合わせた。渦巻く黒に、秋蘭は僅かに押された。試合の時のような気迫では無く、鬼気迫る何かを感じて。

「……怖いよ、俺は。何千、何万って人がボロボロ死んでいく戦争ってもんが恐ろしい」

 悲哀に顔を曇らせたのは月。彼が兵の死に心を痛める姿を、ずっと隣で見てきたから。
 秋蘭はじっと黙って聞いていた。まだ人を殺していない彼が、どれだけのモノに成長するか分からなくて。

「でも、それでも腐った世界を変えるには、戦争しか手段が無いのも事実。曹操殿がやろうとしてる事も大体だけど理解してるし、それが正しいと思ってる。人も国も、単純明快になんざ出来ちゃいない」

 すっと目線を外して、彼は前を向く。明るい色が輝いていた。好きな色の空は、まだ来ない。
 ふと、今日の朝に死んだ二人が浮かべた笑顔を思い出した。
 彼らが戦った証は、この乱世を終わらせないと無意味になってしまう。自分達が勝たなければ無駄死にで、妥協など許されない。
 そして何より……彼が変えなければ、この苦しくも愛しい世界は……。
 何処か哀しい笑みを浮かべて、彼は笑った。

――持てる全てを賭けて、日輪と真月の上がる綺麗な藍橙の空を。記憶が戻った時に俺が消えても、後の事は黒麒麟とお前さん達に任せるさ。

 先は続けず、心の中だけで決意を固めて。

「すまんな妙才。だが、先の事ばかりは見ちゃいない。目の前の戦の事も考えてるよ」
「……ならいいが」

 続けられなかった先の言葉が気になったが、秋蘭も踏み込もうとはしない。

「なんせあの曹操殿に任されたんだ。俺にとっちゃあ誉れある仕事ってもんだよ。あの人に任されちゃあ失敗なんざ絶対に出来ないし」
「くくっ、じゃあ期待させて貰おうか、お前の働きに」
「いんや、それだけじゃあダメだ……俺と真桜とゆえゆえとえーりんと朔夜と、遊び心満載なバカ野郎共の働きに期待しててくれ。な?」

 笑い掛ける彼は、月も一緒に戦ってるのだと示していた。
 ほんの数
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