乱れ混じる想いに
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に来るだろう、とのことだ」
「わざわざお前さんが伝令に来てくれたのか」
「ああ、なんとなく歩きたい気分だったのでな」
「クク……そうか、なんとなくか」
それなら仕方ない、と言わんばかりに彼は苦笑を一つ。
月は首を傾げて秋蘭を見るも、表情からは何を考えているか読み取れなかった。
「怖いか? 徐晃」
戦が怖いか、人が死ぬのが怖いか、人を殺すのが怖いか、戦うのが怖いか、自分が死ぬのが怖いか。
突然の問いかけは探り。秋斗がどう取って答えるのかで、秋蘭の対応が変わるモノ。
「ああ、怖いね。特にえーりんが怖い。曹操殿の喋り方もう一回してくれって言う度に殴られるんだぜ?」
その程度の思惑は分かるからと、彼は話の筋を意図してずらす。
空気を読まない。読むつもりが無い。落ち込んでいる時に落ち込むような話はしたくない為に飄々と躱す。
相も変わらず呆れた奴だ、と秋蘭はため息を零すだけ。彼自身で割り切って話さなければ、意味が無い。
無言のまま、三人は遠くを見据えていた。それぞれ頭の中で思う事はあるが、なんら話そうとしなかった。
日輪の輝きは色付き、もうすぐ日が暮れると教えてくれる。
「ゆえゆえ、妙才」
緩い風が一陣吹いたと同時に、軽く名を呼ぶ。続きを待つ秋蘭は、未だ前を向いたまま。月はきゅっと手を握りしめた。
「剣を持って戦うような人本来の力と力のぶつかり合い……純粋な暴力に重要な要素が置かれる戦争はいつかなくなる」
「ほう、興味深い話だな」
戦争自体が無くなる、とは彼も言ってない事に二人共が気付いた。
秋蘭は片目を細めて、月は眉根を寄せて、彼を見やる。
「もっと残酷で、もっと醜悪で、もっともっと哀しくて苦しくて、人の命も誇りもゴミクズみたいに感じられる戦争がやってくる」
欠片も感情が含まれない、何処か機械的な声。秋斗の目は、遠くにある景色を見ているようで見ていなかった。
言いようも無い不安が二人の胸に湧く。彼の考えが分からない。何を思って、何を見て、何を考えているか、一寸たりとて理解出来ない。それが恐ろしく感じた。
薄く細めた目には黒が渦巻く。
「今回使う兵器は真桜のおかげで改良出来たモノだけど、次かその次の戦では他の奴等も使って来るかもしれない。人は思考する生き物だ。誰かが使った兵器の情報は洩れるし推察される。何が起こったか、何を使ったか、何を集めたか……多くの情報を洗い流して紐解けば、頭の良い奴が考えて作る事の出来る程度のもんだ。もっと強い兵器を作るかもしれない。そうなるとこっちもそれ以上を作らないと対抗出来なくなるから、物資と技術を奪い合い、膠着し、戦争はより長く残酷になる……だろうな」
二人は口を開けて何も言えない。話される事柄は、兵器を
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