九校戦編〈上〉
織斑兄妹と軍関係者との会話
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使ったのかと質問するとあっさりと答えたエリカだった。それも関係者以外は生徒であってもパーティーには参加できないのも。すると部屋のキーを取ってきた美月がこちらに来たのだった。
「美月もここに来ていたのか?」
「こんにちは、一真さんに深雪さん。そちらの私服も結構センスありますね」
「私達は私服センスあるけど、美月のは派手ね。ま、私達も似たような感じだけど」
俺達とエリカ達の互いのファッションを見せつけていたが、エリカも美月も似たような感じではあった。美月はキャミソールのアウターに膝より随分上のスカートと、見る人によってはエリカよりも扇情的も見られかねない。まあ深雪も似たような感じであるから、避暑地と勘違いはしていない。
「エリカちゃんに、堅苦しいのは良くないって言われたものですから」
「ま、そうだな。俺達の私服も堅苦しいのは良くないとは思うぜ、蒼太達は今回別任務でライダースーツ着ているがな」
ここに泊まるという事は千葉家のコネを使ったと見えるが、本来は一般人が泊まれる部屋は空いていないか宿泊できない。十師族の苗字に一から十までの数字が入っているように、百家の中でも本流とされている家系の苗字は千代田、五十里のように十一以上の数字が入っている。数値の大小が力の強弱を表すものではないが、苗字に数字が入っているかどうかは血筋が大きく物を言う、魔法師の力量を推測する一つの目安となる。苗字に数字が含まれる魔法師の家系は「数字付き」の隠語で呼ばれている。それは推測なので、一高の生徒会でも会長の七草しか「数字付き」には該当しない。
エリカの実家も千葉家であるから「数字付き」と呼ばれる百家本流の一つ。自己加速・自己加重魔法を用いた白兵戦技で知られている名門で、千葉家の特異な点は、魔法の行使において優れているだけでなく、それを体系化し、白兵戦を主なスタイルとする魔法師の、育成ノウハウを作り上げた事にある。今では警察及び陸軍の歩兵部隊に所属する魔法師の約半数が、直接・間接に千葉家の教えを受けているとされている。海軍や空軍でも、白兵戦が想定される部隊においては、千葉一門より教官の派遣を受けている事が多い。千葉家は、実戦部門に対するコネという面から見れば、あるいは十師族以上の権勢を有している。まあ権勢を持っているのは、百家や十師族以上に持っている零家や織斑家は国防軍とは顔パスで入れるところが結構ある。
「でも、いいの?エリカは、ご実家の後ろ盾を使うのが嫌いだと思っていたのだけど」
「嫌いなのは『千葉家の娘だから』って色眼鏡で見られる事。コネは利用する為にあるんだから、使わなきゃ損よ」
「確かにそうだな、俺達も荷物を整理しなければいけないので、あとでパーティーで会おうな。蒼太は俺とで沙紀は深雪の隣の部屋だと聞いているぞ」
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