聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第三幕
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……ん?」
ふと、視界が陰った。
近場にいたトナカイ怪人を切り捨てて、余裕のできたところで空を見上げる。
そして――――
「んな!?」
絶句。
そこには、羽の生えたトナカイ怪人二体に引かれた巨大なソリと、その上に乗る、真っ白いヒゲのおっさんが浮かんでいた。
どう見てもサンタクロースを模しているとしか思えないその白髭のおっさんは、背負った大きなふくろから……
「HAHAHA~! MerryChristmas!!」
トナカイ怪人たちをさらに投げ落とし始めた。その数、目算五十以上。
「なんだそりゃぁぁぁっ!!」
ゼツは驚愕と呆れで絶叫せずにはいられなかった。
***
「このっ……! シューティングゲームじゃないんだぞ!!」
悪態をつきつつ、リオンは片手剣用重突ソードスキル、《ヴォーパル・ストライク》を投げる。彼の持つユニークスキル、《投擲》が成す、直線攻撃の射出。相性がいいのは槍や細剣のソードスキルだが、刺突系の要素が混じっているなら片手剣のスキルも対象範囲に入る。それに《ヴォーパル・ストライク》は威力も高いので、リオンはこの技を愛用していた。
ジェットエンジンのような重厚な唸りを上げて、真紅のエフェクトを纏った長剣が突き進む。射線にいたトナカイ男たちが根こそぎ吹き飛ばされ、死体の山を作った。
今度は左手に構えたレイピアを構えて、《フラッシング・ペネトレイター》。流星の如き輝きを纏って、細剣が敵を吹き飛ばす。
だが、その数は一向に減らない。なぜならば、上空に陣取った奇怪なサンタが、高笑いを繰り返しながらトナカイ怪人を戦場に投げ込んでくるからだ。
降ってくるトナカイたちを、投剣ソードスキルや弓ソードスキルなどで撃ち落としまくる。墜としきれなかった者たちは、近づいて斃して行く。
今もまた、腰に装備した麻痺毒付きの短剣を抜きはらうと、素早くソードスキルを発動させる。回転しながら円形に周囲を切り裂いていく短剣用ソードスキル、《リトルサイクロン》五連撃。
ただ、本来ならばこれで攻撃を食らった相手を、麻痺状態で行動不能にし、足止めするという戦法は今回ばかりは生きない。
なぜか?
至極簡単。トナカイ怪人が弱すぎるからだ。
その守備値たるや、俗に言う『紙装甲』の部類を大きく通り越し、すでに防御力など無いようなものである。何か攻撃が一つでもヒットすれば、気色の悪い悲鳴と共に死んでいく。
そして、死体が残る。
これが、非常に邪魔だった。
狙いにくいのだ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ