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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第6話:嫌よ嫌よも、好きのうち……なワケないだろ!
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をしようって事だ」
普段はいい加減な振る舞いをしてるのに、考える事は考えてるんだなぁ……
だから格好いいのか? だから好かれるのか?

「んで、僕からの提案なんだけど……大会のルールとして絶対に“殺しちゃダメ”ね。不殺が絶対のルール……これは主催者である国王が誰になろうと変えちゃダメ! その事を諄いくらい明記しておいて」
大賛成だ。戦いだからと言って“敗者”=“死”とは限らない。

「しかし陛下……」
国王()が『絶対』と言った提案に会議室の誰もが頷いてる中、一人だけ意見を主張する者が居る……彼の名はパトリモーニ・レガシー。グランバニア財務省の次官殿だ。

財務大臣は国王が兼任してるので、実質的に財務省のトップにあたる。
その為、各省のトップが集まる場には、財務省のトップとして出席する……財務省としての意見を言う為に。

「民衆は派手な見世物を好みます。世界中の人々を呼び寄せ利益を上げようとお考えでしたら、今少しご考慮願えませんでしょうか?」
彼は平民から財務省次官に上り詰めた優秀な人だ。

だからこそ、各省の大臣が集まる場で唯一の次官という弱い立場に憤りを感じている。
僕やオジロン・ウルフ君みたいに、父さんに強い口調で意見を言う事は出来ないが、自らの仕事を理解し他の大臣等には言えない意見を言ってくる。
だから父さんも彼を登用したのだし、彼もその事を理解して働いている。

「パトリモの言いたい事は解るよ。民衆が何を求めているのか……でもね、求められたからと言って何でも与えるのは違うと思う。それに“敗北”=“全てを失う”ってワケじゃないんだ。敗北すれば多くを失うけど、得るものもある。僕がそうだよ……昔、魔族に敗北した所為で、父を失い奴隷となって青春時代を失った。でも得た物もある……奴隷という立場の気持ち、上に這い上がる為努力する気持ちだ。これは王になった今でも、生かされてると思ってる」

父さんだからこそ言える思い真実。
それでも口調は優しく、パトリモーニさんを叱る様子は微塵も無い。
ただ諭そうとしているだけ。

「この大会は、今後続けて行く予定だ。1度の大会で負けたからと言って、2度と戦えないなんてつまらない。負けた事で成長し次の大会で勝利する事が出来れば、それはドラマティックな事じゃないか! 大会ではその事等を取り上げ、各選手を目立たせれば盛り上がる事間違いないと思うよ」

「なるほど……陛下の仰る通りです。出過ぎた事を言いました、申し訳ございません」
パトリモーニさんは素直に謝罪し、父さんも気にするなと手を振り応える。
流石父さんが財務を任せる人だ。

「しかし……そうなると大会出場者の名簿を作らなきゃならなくなるなぁ。それ、誰やんの?」
「お前だウルフ。お前なら出来るだろう(笑)」

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