十話
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ッグに荷物を詰める私の周りを相坂が涙を流しながらくるくると回る。彼女だけが、修学旅行に参加することが出来ないのだ。エヴァも呪いが解けたことを学園に報告していないため正式には不参加だが、後から転移でくるつもりだと言っていた。
「みやげを買ってくる。だから今回は辛抱してくれ」
相坂と会ってからと言うもの、エヴァや刹那と相談しながら何とか相坂の行動範囲を広げようとした。何か媒介、もしくは人物にとりつかせるという案に落ち着いたのだがいかんせん、相坂は素人幽霊なのだ。
こればかりは誰もアドバイスなどを行えず、相坂が頑張るしかなかった。結果、短時間なら対象の変化に成功した。だが、修学旅行の間中となると不可能と言わざるを得ない。
「まってますからねぇ」
「ああ、分かっているさ」
修学旅行当日まであと三日。短い時間だが、できるだけ相手をしてやろうと思いながら準備を再開した。
「ご機嫌だな」
「当然だ!」
今日も今日とてエヴァ宅にて修行を行おうとしていたのだが……エヴァが終始にやけており、はっきりいって無意味なものとなっていた。そのため、早々に切り上げたわけだがエヴァの笑みはおさまる気配がない。
「マスターは呪いが解かれたその日からずっと楽しみにしていましたから」
「ええい! そんなことは言わんでいい!」
声は怒っているが顔は笑ったままだ。よほど楽しみなのだろう。いまいち、自分にはよく分からないが……
「何だその顔は」
「何、純粋に楽しもうとしている君が羨ましかっただけだ」
ただでさえ修学旅行中の教師は生徒が問題を起こさないか気を張らなければいけないのだ。生徒と違い、楽しむと言った要素は限りなく薄い。それに、学園長が寄こした問題ごともある。とてもではないが、楽しめるとは思えない。
「ふん。爺の頼みごと等放っておけばいいものを」
「そうもいかんさ」
「貴様はもっと適当に生きるべき……ん?」
「どうした?」
「侵入者……いや、サイズ的には式か使い魔だな」
どうやら、学園に張られている侵入者探知の結界が反応したようだ。ちなみにこの結界、登校地獄を解除した際にエヴァとの繋がりが断たれ、後から急ぎ繋ぎなおしたという経緯があるが、それはまた別の話だ。
「私が行こうか?」
「……そうだな、お前に任せる」
既に用もないし、特にこの後用事があるわけでもない。それに人が侵入したならともかく今回は使い魔の類だ。エヴァ曰く、使い魔なら無理に発見する必要は無い……と言うより発見できないらしい。必ずしも発見しなければいけないわけではないなら、散歩がてら引き受けるのもいいだろう。
「ではな」
「ああ、どうせ見つからんだろうが連絡は寄こせよ」
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