Episode32:アイス・ピラーズ・ブレイク
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る魔法は情報強化の一般的なものから、ニブルヘイムやムスペルスヘイムなどといった高等魔法など幅が広い。
「ただ、発動スピードは並より少し早いくらいだな」
「うん。将輝なら先手を取って有利に試合を進められると思う…けど」
「分かっているさ。九十九隼人は防御も硬い…そう簡単に崩せないだろうな」
今までで九十九隼人が防御に使った魔法は情報強化のみだが、しかし攻撃用にしている『ファランクス』は元々防御魔法だ。幾らクリムゾン・プリンスといえど、あの鉄壁を正面から貫くのは難しい。
「爆裂もあの情報強化を抜くには難しいだろうし」
爆裂はその性質上、情報強化を纏った対象には効果を発揮しにくい。
九十九隼人と将輝の相性は最悪と言っても過言ではなかった。
「手詰まり、か……」
将輝の切り札は『爆裂』 だ。それがあまり効果がないとなると、いよいよ勝利が見えなくなってくる。
思わず歯噛みした将輝に、思わぬ所から声がかかった。
「方法、なら、一つだけある、ぞ」
途切れ途切れなインネーションで話す人物は、白銀の髪を揺らして歪な笑みを浮かべていた。
「方法、だと?」
「ああ。九十九、隼人を負かすことのできる、唯一の、作戦だ」
正直に言って、将輝は紫道聖一のことを快く思ってはいなかった。
それはそうだろう。彼は常にこちらが竦むような殺気を放っているのだ。本物の殺気を感じたことのない生徒達が気づかないのは仕方のないことだが、一度戦争というものに参加したことのある将輝には、聖一の放つその気がどれ程強く、そして恐ろしいものなのかがよく分かる。
間違いなく彼も、人を殺したことがある。
「紫道、その作戦ってのはなんだ?」
しかし今はそんな事を気にしている状況ではない。
負けられないのだ。三高のエースとして、十師族に名を連ねる者として。
「簡単、だ。奴を攻めに、転じさせなければ良い」
「攻めに転じさせない? どういうことだい?」
「試合開始、と共に、攻め続ける、だけだ。ただし複数の、魔法でな。奴はCADを、使っての魔法に、慣れていない」
「…確かに効果はありそうだけど、かなり難度が高いね」
聖一の作戦は、簡単なようで難しいことだ。
複数の魔法で攻め続ける。確かに、攻める手法を変えれば防御の魔法もそれに対応できる魔法に変更しなくてはならない。
例え鉄壁を誇る『ファランクス』であっても、氷柱自体に魔法をかけられてしまったら意味がない。
しかし、複数の魔法を立て続けに発動するのはかなり難度の高い技能だ。将輝のマルチキャストで発動できる魔法は四つが限度。防御に一つ魔法を使うとしても、三種類の魔法で九十九隼人の防御を貫くことはできるのか。
「…やってやるさ」
しかし
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