第三章
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「だからね」
「少し休んで」
「ちょっと支えて」
休むのではなく、というのだ。
「お部屋は近くだけれど」
「それまで、ですか」
「足元がふらふらしてるから」
それで、というのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「道は教えてあげるわ」
この言葉、さりげない言葉にも蜜は含みを入れていた。
「それ位は出来るから」
「そう、ですか」
喉をごくり、と鳴らしてからだ。有一はその蜜の言葉に答えた。
「教えてくれるんですか」
「お部屋までの道はね」
「わかりました」
「ただね」
流し目も送ってだ、蜜はここでこう言った。
「足元はふらふらしてるから」
「それで」
「持って」
その手を差し出しての言葉だ。
「悪いけれど」
「わかりました、それじゃあ」
有一は蜜に言われるままだった、そのうえで。
彼女に手を抱かれながらだった、部屋まで案内してもらった。そうして。
部屋の扉の前まで来た、有一は実はここで内心まさかと思っていた、そして蜜もそれがわかったいたからこそ。
あえてだ、彼にこう言ったのだ。
「扉も開けてね」
「は、はい」
思わずだ、背筋をぴんとさせて答えた彼だった。
「そうしてですね」
「中に入れて」
「玄関まで、ですね」
「ええ、そうして」
蜜は実は酒はかなり強い、だから平気なのだがあえてかなり酔っている振りをしながら有一に言うのだった。
「欲しいけれど」
「わかりました、じゃあ」
「ええ、鍵はね」
蜜はその鍵を出してだ、それは自分でだった。
開けてだ、そうしてだった。
有一に扉の向こうの玄関まで身体を持って行ってもらった、しかし。
そこで服を着たまま真っ赤な顔で仰向けになってだ、悩ましげな顔で彼に言った。
「ううん、もうこれ以上はね」
「動けないんですか」
「飲み過ぎちゃったわ」
その悩ましげな顔での言葉だ。
「だからね」
「それで、ですか」
「重ね重ね悪いけれど」
それでもだというのだ。
「起こして」
「は、はい」
「そうしてね」
また自分のところに来た有一にだ、蜜はさらに言った。
「お部屋の中まで連れて行って」
「中の何処にですか?」
「そこは私が言うから」
ここから先はあえて言わなかった。
「そうしてね」
「わかりました、それじゃあ」
有一も頷いてだ、そうしてだった。
また蜜を肩に担いで彼女の言うままに連れて行った、その場所は何と。
寝室だった、有一はここで本当にまさかと思ったがあえて言わなかった。というかは言うことが出来なかった。
そしてだ、蜜はというと。
仰向けに身体を服のまま寝かされたところでだ、一気に動いた。
身体を寝かせてくれてまだ身体を屈めている有一を抱き寄せて
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