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ペットを買おう
第一章

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                   ペットを買おう
 眞鍋蜜はオフィスで同僚達にだ、こんなことを言われた。
「あんたペットは?」
「ペットは買わないの?」
 こう言われたのだ。
「あんた今のところ結婚してないし」
「彼氏もいないでしょ」
「だからね」
「そうしたのは」
「ペット、ねえ」 
 そう言われてだ、当の蜜はというと。
 三十代に入ったばかりの和風のそれも濃厚な色気を漂わせた顔でだ、黒のロングヘアを右手で掻き分けながらこう言った。
「そういえばいいわね」
「犬可愛いわよ」
「猫もね」
 同僚達は口々に言う。
「ハムスターもいいし」
「金魚とかでもね」
「鳥もいいし」
「インコとかね」
「色々あるわよね」
 蜜も彼女達に応えて言う。
「ペットといっても」
「そう、そこはね」
「蜜も考えてみてね」
「ペットを飼うのならね」
「何を飼うのかね」
「ペットについてはね」
 どうかとだ、蜜は微笑んで彼女達に答えた。
「真剣に考えてみるわ」
「そう、それじゃあね」
「ペット飼うのね」
「そうするのね」
「幸い私のマンションはペットを飼っていいわ」
 蜜は思わせぶりな笑みで言った。
「犬も猫も飼えるわ。けれどね」
「けれど?」
「けれどって?」
「今思いついたわ」
 丁渡今、というのだ。
「面白いペットを飼うことにしたわ」
「面白いペット?」
「面白いって?」
 蜜にそう言われてだ、同僚達は顔を見合わせた。そうしてこう言った。
「イグアナとか?」
「イグアナはもう普通でしょ」
 今に至っては、というのだ。
「そういえばね」
「面白いペットっていってもね」
「もう大抵ペットショップにいるからね」
「具体的に何かしら」
「それだけじゃよくわからないわよ」
「どうにもね」
「そのうちわかるわ」
 やはり思わせぶりな笑みで言う蜜だった。
「ただ、ペットには美味しい御飯を毎日食べさせてあげるわ」
「蜜料理上手だしね」
「調理師免許持ってるし」
「栄養学も勉強してるし」
「お料理の腕もあるからね」
「ペットになった子を幸せにしてあげるわ」
 こう言うのだった。
「是非ね」
「一体何を飼うのかしら」
「ちょっとわからないけれど」
「けれどね、女も三十になったら」
「何かと寂しさも感じるからね」
「ええ、私もそう思いだしたから」
 同僚達のその言葉を聞いてである、蜜もそう思ってなのだ。
 ペットを飼うと言ったのだ、そして。
 ある日だ、蜜は居酒屋に数日の間行ってだった、ある日カウンターに大学生位の若い男の子を見て彼の横に来てこう尋ねたのだ。
「君今一人かしら」
「えっ、貴女は」
「OLよ」
 蜜は自分の職業から答えた。
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