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チャンピオン
第三章
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ルに言った。
「貴方にも。神のご加護を」
「有り難うございます」
 静かに応えた彼だった、そうして彼女を見送ったのだった。
 その彼にだ、公爵はこの場でも言った。
「先日の話だが」
「褒美とですね」
「褒美は領地と剣だ」
 その二つだというのだ。
「それを与える、そしてだ」
「妻もですか」
「エリーゼが言った通りな」
「幸せにですね」
「そうだ、なるのだ」
 その為にもというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
 ラインマルは己の感情を消したまま静かに応えた、そして妻を迎えてだった。
 家族を築きそのうえで彼の幸せも築いていった。だが。
 その若き日のことは誰にも言わなかった、誰のことを想い考えていたのか。それは誰にも言わないのだった。


チャンピオン   完


                            2014・9・15
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