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無欠の刃
下忍編
軽率
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! と文句を言ってへたり込んだサクラと、試験の穴位きちんと確認しろよな、このバカが。と珍しく罵倒の言葉を吐きつつ、安堵した様子になったサスケ。
 



 「俺の目、見なかったんだよね」



 一度もこちらを見ず、俯いた状態で息をついていたカトナの姿が、頭をはなれないのだ。



 困った、困った。どうしよう。
 現在の状況に内心で頭を抱えながらも、カトナはそんな感情を悟らせないまま上を向き、壇上で何らかの話をしているらしい火影の会話を聞いているふりをする。
 勿論、頭の中では大パニックどころの話ではない。思考が、あっちにいってはこっちにいってを繰り返し、どうしたもんかとうろたえ続けている。
 やはり、鼓膜を破りすぎるのは軽率すぎた。あの時はそうするしか仕方なかったとはいえ、しかし、状況が把握できないという事は、不利すぎる。
 当初の予定では、もう第二次試験は合格したから、そのまま家に帰宅できる予定だった筈だ。家ならば、ある程度の九尾チャクラを引き出してもばれないだろうと思っていたので、すぐに鼓膜を直せると思っていた。
 …が、予想外なことに、この第二次試験合格者が多過ぎたのだ。
 普通ならば、もう少し減らされるところだったのだろうが、木の葉の人間がしぶとく残ってしまったのもまた、予想外の一つだったともいえる。ルーキーである班が全員合格しているのだ。今年はある意味豊作だったのだろう。
 まぁ、豊作は豊作でも嬉しくない豊作だが。
 そう内心で溜息をつきながら、必死にカトナは、口の動きと移り変わる表情、そして今の状況でなんとか、場の流れと話を察す。
 伊達に里中から嫌われていたわけではない。その場の雰囲気を察すのも、遠くの人間が何を言っているのかを口の動きで予測するのも、その表情に込められた感情も察すことはできる。
 だから、ある程度は問題ない。問題があるのは…。
 ちらりと、カトナは横に視線を向ける。
 こちらにびしばしと凄まじい勢いで叩きつけられる二人分の視線に、内心でカトナは悲鳴を上げる。
 おそらく、カカシのものだろう。先程、巻物を開いて遭遇した時に、彼に気が付かれ無い様に演技したが、どうやら何かミスを犯したらしい。
 先程から自分の方をちらちらと伺ってきては、困ったように、何かに戸惑ったように首をかしげている姿を視界の端で確認している。これは気づかれるのも時間の問題かもしれない。
 それに…。
 ちらりと、今度はすぐ傍に居る彼の存在を見る。
 まえをまっすぐ見ながらも、こちらを気にしていることがありありと分かるサスケの気配に、カトナはまた内心で頭を抱える。
 先程まで疑っていなかったサスケが、カカシから向けられる視線の意味を考え始め、カトナの様子が異常なことに気が付きだしているのだ。

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