ターン16 鉄砲水と歯車と地獄
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者………よし、決めた。
「………ってことなんでクロノス先生、どうすればいいんですかね僕は」
「なんでそれを私に言いに来たノーネ。申し訳ないけれどシニョール清明、この件に関してははっきり証文まで取られてるからいくら私でもナポレオン教頭に言うことを聞かせるのは無理なんでスーノ」
校長室。校長代理の札の『代理』の部分に油性マジックでバッテンを書く暇がある程度には忙しくなさそうだったクロノス先生に相談してみる。残念ながらあまり色よい返事ではなかったけど、ここではいそうですかと帰るわけにはいかない。
「あと一か月でいいんです、それだけあればいくらでもやりようはありますから」
「そんなこと言われましても………そもそも、私は校長として」
「……代理」
「聞こえてるノーネ。とにかく、生徒を正しい方向へ導く立場にありますーノ。この場合、対外的に見れば正しいのは明らかに証文を持ってる教頭の方。もしここで私がシニョール清明に手を貸してそれが教育委員会にバレでもしたら、私の進退にもかかわってくるようなことなのーネ。さらに言わせてもらえば、今の教頭は斎王琢磨と一種の協力関係にあることは明白。遺憾ながら光の結社に学校のほとんどを制圧された今は私の地位も飾り同前、逆らうのは得策ではないでスーノ」
先生、そりゃないでしょう。文句の1つも言いたいのをぐっと我慢する。教育委員会云々は冗談のようだが、後半部分は確かに一理ある。どうもこの調子だと、粘ってみるだけ時間の無駄っぽい。
「………もういいです。しつれーしましたー」
「はい、気を付けて帰るノーネ。………ああ、それとこれは独り言なのですが」
「はい?」
帰ろうとして背を向けた矢先、ぼそりと呟くようにクロノス先生が口を開く。
「確か、今レッド寮の取り壊しに積極的なのは校内でもナポレオン教頭だけだったような気がするノーネ。裏を返せば、教頭さえ納得させることができればいいような気もしないような気がするんですーノ」
「歯切れ悪いですね………そんなこと言われても、あの人を言葉で説得とかちょっと難易度高すぎますって」
「まったく、できの悪い生徒を持つとこの仕事も大変なノーネ。ここがどこだか一度じっくり考えてみるノーネ」
ほとほとあきれた様子のクロノス先生。ここがどこかって?そんなもの、デュエルアカデミアに………あ、いや、ちょっと待てよ。うん、これならいけるかもしれない。
「先生、ありがとうございました」
「はて、何のことだかさっぱりでスーノ。私は部屋に誰もいないと思って独り言を喋っただけなのに、それをこっそり盗み聞きしていたとでも?」
そう言ってにっと笑い、ウインクする先生。その姿に深々と一礼して部屋を出た。ナポレオン教頭、首を洗って待ってろってんだ!
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