ターン16 鉄砲水と歯車と地獄
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「うーん、こりゃひどい。あ、ちょっとサッカーそっちのノート取って………うい、センキュ」
渡された大学ノートをぺらぺらめくり、つらつらと並んだ数字を電卓に打ち込んでいく。これとこれとこれが支出で、あとこれも支出で、それからこっちの数字も支出で………。
「………寝る」
『そう来ると思った。打ち合わせ通りよろしく頼む』
ノートを閉じて全力で現実逃避しようとした矢先、いきなり背後から霧が湧きだして僕の体を包み込む。ただの霧のはずのそれは物理的な質量があるかのように僕を抑え込んで、その場を離れられないようにした。
「チャークーチャールーさーん、それに霧の王まで、何すんのさまったくもう」
『マスターの性格を考慮した結果、赤字額が6ケタを超えた瞬間に容量オーバーになるのは目に見えたからな。案の定、累計10万と63円になったところで考えるのをやめたか』
「だだだって10万だよ!?9万までならどうにかなる気がするけど6ケタだよ!?これ以上赤字が増えるところなんて見たくないよ!」
『ふむ。なら、そんなマスターにいい言葉を授けてやろう』
「な、何?」
含みたっぷりにそんなことを言うチャクチャルさんになんだか嫌な予感を覚えつつも、一応聞くだけ聞いてみることにする。
『昔から言うだろう。―――――男は借金背負って一人前、と』
「だったら半人前でいいよ!」
チラッとでも聞いてみようと思った僕が馬鹿だった。さて、そもそもどうしてこんなことを僕がする羽目になったのかというと、それは数時間前にさかのぼる。
「あ、そこの君。ちょっといいでアールか」
「はーい、どしたんですかナポレオン教頭」
廊下を歩いていた僕は背が低くて小太りで、クルリとカールした立派なひげが特徴的な微妙に貴族風ファッションの人に呼び止められた。そう、こんなよくわかんない恰好した人がこの学校の教頭なのだ。あのクロノスせんせ………あー、校長代理にも負けず劣らずにキャラが立っているというなかなかとんでもない人だけど、学校での評判や印象は正直イマイチの一言に尽きる。というのもより立場が上でデュエルも強いクロノス先生と違ってあまり生徒たちと関わりあうことをせず、いまだに全校集会などの先生が全員そろう時にしかその姿を見たことのない一年生がいるほどなのだ。おまけに僕らが入学した時のクロノス先生並みにレッド寮を毛嫌いし、イエロー寮も若干見下してる節がある。ちなみに僕個人としては何度か寮長ファラオの代理として話をしたことがあるので比較的知っている人ではあるのだが、どうも何度話をしても小悪党という印象がぬぐえない。どうしようもない悪人ではないんだろうけど、多分この人は一生こんな感じの性格なんだろうなーと。
「最近オシリスレッドの会計状況の提出が無
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