第五十話 出撃
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て、アントニオンは旧世代のレプリロイドをゴミのように見下ろしていた。
アントニオン「さっきの威勢はどうしたのです?このままでは私を倒せませんよ」
ゼロ「貴様…」
レイヤー「ゼロさん」
ふと我に返る。
彼の傍らでは、レイヤーが冷静にアントニオンの隙を伺う。
ゼロのアドバイスを彼女は忠実に守っている。
ゼロ「すまない。言った俺が忘れていた。」
伏せ目がちに笑うと鼓動を落ち着かせる。
アントニオンが地に降り立つと、両手を掲げて意識を集中させる。
次の瞬間、巨大なキューブが次々に出現した。
ゼロ「(なる程、これで確実に押し潰すつもりか…)」
落下速度はかなりのものだ。
僅かでもタイミングを外せば下敷きになるだろう。
ゼロ「(レイヤー!!)」
レイヤー「(分かっています!!)」
シンクロシステム起動。
全身の感覚を研ぎ澄ませ、キューブを回避していく。
1つずつ1つずつ、キューブを回避していき、キューブの砕け散る音を聞きながら、敵との間合いを詰めていく。
落ちてくるキューブの数は10を数えただろう。
地面に叩きつける音と振動が、キューブの恐ろしさを痛感させた。
死が一瞬で到来するものだと、嫌でも思い知らされる。
しかし、これを乗り越えられれば勝てる。
アントニオン「な…!!?」
思わずアントニオンは目を見開いた。
ゼロ「これで終わりか?やはり性能が高くても戦いに関しては素人だな」
先程の仕返しも兼ねて余裕の笑みを浮かべながら言い放つ。
アントニオン「キューブを全て回避したというのか!!?」
必殺技を放っている間のアントニオンは無防備であった。
彼は両腕を掲げたまま、間合いを詰めてくる戦士を見つめるしかない。
疾走する戦士達は、まるで演舞でも披露するかのように、引き締まった勇姿を見せ付けた。
ゼロ「行くぜ!!」
2人のリミッターが解放され、セイバーとレイピアの光刃が巨大化する。
2つの剣が哀れなる獲物に躍りかかる。
切り刻まれた身体は生死を問うまでもない。
アントニオン「(………愚かなる旧きレプリロイドよ)」
死の気配を感じながら、アントニオンは低く笑った。
声は出ず、従って2人に笑いは届かない。
レプリロイド…。
人を超える新たなる生命体。
進化した者。
彼は優れた生命体として、自分より劣る生命体を支えてきた。
せれは劣る種への哀れみであり、慈悲であった。
だがその心は愚かな人間がプログラムしたもの。
自分の都合がいいように。
自分はプログラムをされた思考を破った特別な存在。
特別な者のみが生きる世界を実現するという理想は見る見るうちに自分から遠ざかっていくが、彼に後悔はなかった。
生き残った者
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