第五十話 出撃
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クセルはきっと正気に戻せるわ。諦めなければきっと…きっと大丈夫だから…」
自分に言い聞かせているようにも聞こえるアイリスの言葉にエックスも少しの間を置いて頷いた。
アイリス「エックス、ルインの傍に居てあげて。アクセルから攻撃を受けて、ルインはきっと傷ついてる」
エックス「ああ」
いくら身体の傷は治せても心の傷は消えないのだから。
そしてプリム・ローズに転送された2人は、一気に通路を駆け抜ける。
プリム・ローズは、重力制御システムを実験する研究施設であり、サイバースペースに似た冷たい部屋に、金属質の巨大なブロックが置かれていた。
アイリス『ゼロ、レイヤー。聞こえる?この施設には、重力を制御する装置があるようなの。重力方向を変えると、周囲の物体にも影響が出るから気をつけて』
ゼロ「ブロックに押し潰されないように注意しろってわけか…面倒な仕掛けだ」
レイヤー「急ぎましょうゼロさん。」
ブロックが積まれた部屋の中で、2人はメカニロイドを破壊しながら会話をしている。
ゼロ「羅刹旋!!」
レイヤー「雷光閃!!」
空中にいるメカニロイドはゼロが空中での回転斬りで破壊し、レイヤーはレイピアに電撃を纏わせ、高速でメカニロイドを切り捨てた。
大した物だと、ゼロはレイヤーの剣術を評価する。
確かにナイトメアウィルス事件以来に時々何度か会い、柄にもなくいくらか指導をしたが元々非戦闘型であるにも関わらず、ナイトメアウィルスの大量発生地でゼロとルナと一緒だったとは言え、殆ど無傷で潜り抜けた実力はかなりの物だ。
新世代型レプリロイドとの戦いで、彼女の剣の腕は飛躍的に上がっていた。
メカニロイドを殲滅すると、ゼロとレイヤーはスイッチを作動させる。
レイヤー「スイッチによって、重力の制御システムが違うようですね」
厄介な仕掛けだとゼロは顔を顰めた。
彼は頭を使うミッションはあまり好まない。
戦っている方が遥かに気楽だ。
そして、傍らを走るレイヤーが、唇を噛み締めた。
ゼロ「レイヤー?」
彼女の急な変化にゼロは疑問の表情を浮かべ、彼女を見遣る。
レイヤー「…私は彼らを…許しません。こんな戦いを起こし、皆を傷つけたイレギュラーを…ゼロさんやエックスさん、ルインさん達だけじゃありません。エイリア先輩やパレットだって」
普段、感情を表に出さない彼女が怒りに震えていた。
ゼロの知らない彼女がそこにいる。
ゼロ「(俺達が寝ている間に。彼女達には辛い戦いを強いてしまった……。)」
海を思わせるアイスブルーの瞳が悔恨に滲む。
感傷が胸に沸き、前方の景色が一瞬遠いものに
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