魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり1
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「撃ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね」
なのに。あの子は――光の妹は、まだ自分の意思でそこに留まっていた。非殺設定のままだが、決してダメージがない訳ではない。魔力はかなり削れているはずだ。
「今度は私の番だよ!」
膨大な魔力が膨れ上がる。一体、どこにそんな力が残っていたのか。
「Divine Buster」
疑問に思う暇もない。元々一撃の重さなら彼女の方が有利だった。けれど、今の私では回避が間に合わない。危険は承知で防ぐしかなかった。
それが、致命的な失敗だった。
「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」
ばら撒かれた魔力さえ絡め取って、彼女はさらなる魔法を放とうとする。
今の私に、今度の一撃は耐えきれない。例え万全な状態でも、防ぎきれないかもしれない。それくらいの魔力だった。けれど、
(これさえ乗り切れば――)
これほどの魔法だ。そう何度も使えはしない。それなら、何としても避ければいい。
「しまった!?」
明らかに、集中力が欠けていた。いつの間にか設置されていたバインドに気付かず、拘束される。解除するまでの時間がもうない。
「これが私の全力全開!」
防御は絶望的だった。それでも、諦めずに魔力をかき集める。
「スターライトブレイカー!」
『Starlight Breaker』
執念が続いたのは、ほんの一瞬だった。……いや、そもそも執念と呼べるものが、今の私に残っていたのだろうか。
(ああ。これで――)
桜色のその光に包まれた瞬間――私は安らぎすら感じていたように思えたのだから。
6
『出番だぞ、ユーノ! 狼の姉ちゃん!』
決着を見届けてから、すぐさまリブロムが叫んだ。
アルフと二人、同時に走り出す。目的地は言うまでもない。
海中に沈んだフェイトを抱き上げたばかりの――もっとも無防備になっているなのはのところだ。
「ヘマするんじゃないよ!」
「そっちこそ!」
全力で魔力を収束させる。僕らが求める魔法はただ一つ。
不壊にして不滅。生涯最高の盾だった。
それぞれの大切な人を守るために、ただその魔法だけを求める。
「ぐ、あ、あああああああっ!」
「こン、のぉ…おおおおおっ!」
直後、紫色の轟雷が海原を貫き通さんとばかりに降り注ぐ。プレシア・テスタロッサからの攻撃だった。あの日の一撃よりさらに強大な魔力が込められている。アルフと二人係でのシールドに容易くひびが入る。アースラのシールドさえ撃ち抜いた一撃だ。本来であれば、生身の魔導師が防ごうなどと考えて良い代物ではない。そんな事は分かっている。
「ユーノ君! アルフさん!」
だけど、今ここで砕かれる訳にはいかない。
『よっしゃ、二人とも上出来だ。行くぜ!』
身体が霧散する
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