暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり1
[8/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「撃ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね」
 なのに。あの子は――光の妹は、まだ自分の意思でそこに留まっていた。非殺設定のままだが、決してダメージがない訳ではない。魔力はかなり削れているはずだ。
「今度は私の番だよ!」
 膨大な魔力が膨れ上がる。一体、どこにそんな力が残っていたのか。
「Divine Buster」
 疑問に思う暇もない。元々一撃の重さなら彼女の方が有利だった。けれど、今の私では回避が間に合わない。危険は承知で防ぐしかなかった。
 それが、致命的な失敗だった。
「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」
 ばら撒かれた魔力さえ絡め取って、彼女はさらなる魔法を放とうとする。
 今の私に、今度の一撃は耐えきれない。例え万全な状態でも、防ぎきれないかもしれない。それくらいの魔力だった。けれど、
(これさえ乗り切れば――)
 これほどの魔法だ。そう何度も使えはしない。それなら、何としても避ければいい。
「しまった!?」
 明らかに、集中力が欠けていた。いつの間にか設置されていたバインドに気付かず、拘束される。解除するまでの時間がもうない。
「これが私の全力全開!」
 防御は絶望的だった。それでも、諦めずに魔力をかき集める。
「スターライトブレイカー!」
『Starlight Breaker』
 執念が続いたのは、ほんの一瞬だった。……いや、そもそも執念と呼べるものが、今の私に残っていたのだろうか。
(ああ。これで――)
 桜色のその光に包まれた瞬間――私は安らぎすら感じていたように思えたのだから。



 
『出番だぞ、ユーノ! 狼の姉ちゃん!』
 決着を見届けてから、すぐさまリブロムが叫んだ。
 アルフと二人、同時に走り出す。目的地は言うまでもない。
 海中に沈んだフェイトを抱き上げたばかりの――もっとも無防備になっているなのはのところだ。
「ヘマするんじゃないよ!」
「そっちこそ!」
 全力で魔力を収束させる。僕らが求める魔法はただ一つ。
 不壊にして不滅。生涯最高の盾だった。
 それぞれの大切な人を守るために、ただその魔法だけを求める。
「ぐ、あ、あああああああっ!」
「こン、のぉ…おおおおおっ!」
 直後、紫色の轟雷が海原を貫き通さんとばかりに降り注ぐ。プレシア・テスタロッサからの攻撃だった。あの日の一撃よりさらに強大な魔力が込められている。アルフと二人係でのシールドに容易くひびが入る。アースラのシールドさえ撃ち抜いた一撃だ。本来であれば、生身の魔導師が防ごうなどと考えて良い代物ではない。そんな事は分かっている。
「ユーノ君! アルフさん!」
 だけど、今ここで砕かれる訳にはいかない。
『よっしゃ、二人とも上出来だ。行くぜ!』
 身体が霧散する
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ