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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり1
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フン、とリブロムは短く笑った。
『まぁ、意味なんざ本人たちが感じてりゃそれでいいだろ? どこにでもあって、どこにもねえ。戦う意味なんて元からそんなもんだ』
 戦う意味。彼女達は感じているだろうか。――いや、なのははきっと感じている。この戦いに意味を見出していて。だからこそ、諦めない。
「って、あれはマズい!」
 突如として、アルフが悲鳴を上げた。彼女の主――フェイトが膨大な魔力を収束させつつある。明らかに決戦用の魔法――切り札を切ろうとしている。
「ライトニングバインド!」
 一方のなのはは、フェイトが設置した拘束魔法に引っ掛かり、身動きが取れない状態にあった。抜けだそうとしているようだが、このままでは術の完成の方が早いのは明白だ。
「フェイトは本気だ。止めないと!」
 アルフの言葉に、走りだしそうになる。だけど、
「ダメ!」
 鋭い拒絶の声が、僕の足を止めた。なのははまだ諦めていない。
「手を出さないで! これは……これは私がやらなきゃならない事なんだから!」
『あ〜あ……。ああなったら、聞かねえぞ』
 リブロムが露骨に困ったような声で言った。あまりに露骨過ぎて、楽しんでいるのが分かるくらいだ。
『これも相棒の奴が考えもなく甘やかすからだな。まぁ、仕方ねえ。一度痛い目にあえば考えも変わるだろうさ』
「痛い目ですめばいいですけどね」
 取りあえず言いかえす。だけど、その程度でこの本が動じる訳もない。
 ……それに、本当に危険だと思えば、なりふり構わず光を吐き出しているだろう。何となくだが、そう確信していた。
『違いねえ。だがまぁ、ああ言ってる事だ。あのチビには好きにさせておいて、オマエらは自分がやる事をやっちまいな』
 僕が頷くと、アルフも渋々と言った様子で頷いた。
 僕らがやるべきこと。それは、この『勝負』に決着がついた瞬間に訪れる。




「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル――」
 ありったけの魔力を絞り出し、詠唱を続ける。求めるべき術はたった一つ。
 もしもそれが直撃すれば、あの子は無事では済まないかも知れない。
「フォトンランサー・ファランクスシフト」
 それは分かっていた。けれど、もう止まれない。……止まってしまったら、私はもう二度と動けなくなってしまうから。
≪そこまで分かっていて何故?≫
 誰かの声がした。……ような気がした。それは、今までのような呼びかけではない。私達が戦い始めてから、そんな呼び掛けは一切なくなっていた。それに、その声は堪え切れずに零れ落ちた嘆きだった。だから、そんな声は聞こえない。
「撃ち砕け、ファイア!!」
 迷いなく、全ての魔力を吐き出す。直撃だった。確実に仕留めた。……はずだった。
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