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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり1
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意志。けれど、彼女の姿は疲れ果てているように見えた。
「光はどこ?」
『ここにいるぜ』
 彼女の問いかけに、リブロムが言った。昨日から、光はずっとリブロムの中にいる。
『悪いな。感動の再会と行きたいところだが、生憎とまだ相棒の都合が合わなくてな。今出すと感動の再会じゃなくて血の惨劇にしかならねえんだ。ヒャハハハハハッ!』
「まだ平気なの?」
 光を蝕む『魔物』の事は知っているのだろう。いや、目覚めてからの間ずっと一緒にいた彼女の方が私よりよく知っていて当然か。
『一応な。今日中に決着がつけられれば……まだ何とかなるだろうさ』
「そう。良かった」
 少しだけ、彼女は笑ったように思えた。それでさえも、泣き顔にしか見えなかったとしても。
「ジュエルシード、頂いていきます」
 初めて会った時。最初に聞いた言葉と同じ。もちろん、彼女が意識していたとは思えないけれど……不思議な縁を感じた。リブロムをユーノに預け、一歩前に出る。
「いいよ。私達が出会えた切っ掛けはきっとジュエルシードだから。だから賭けるよ。私が持っている全てのジュエルシードを」
『Put out』
 私の言葉に応じて、レイジングハートが五つのジュエルシードを空中に広げる。
「母さんのために、あなたを倒してそれを貰っていきます。それに、そうすれば光をあなたの元に返す事も出来るから。母さんがそう約束してくれたから」
「違うよ。この宝石じゃ光お兄ちゃんは治せない」
 自然とその言葉を告げていた。この宝石では光を蝕む『魔物』は止められない。そんな事は分かっていた。
「治せるんだったら、とっくに自分で治してるはずだから。でもそうしなかった。この宝石をいくら集めてもダメなんだよ」
 代償とは言いかえれば未練だと、リブロムは言っていた。その『魔物』は何かをしたかったのだ。何か望みがあったはず。それを叶えるのには、この宝石ではダメなんだ。
 それはきっと。誰かを殺すとか殺さないとかそういうことじゃなくて――
「他の誰でもなく、あなたが救われなきゃ、きっとダメなんだよ」
(そうでしょう?)
 誰に宛てたでもないその問いかけに、返事があった。……そんな気がした。
≪冴えてるじゃないか、チビ助≫
 それは光の声のようにも思えたし、リブロムの声のようにも思えた。
≪オマエがやろうとしてる事は間違いじゃねえ。むしろ、オレ達よりよっぽど真っ当で冴えたやり方だ。だから、≫
 けれど、それ以外の誰かのようにも思えた。
「私達の全てはまだ始まってもいない。だから本当の自分を始めるために、始めよう」
≪そのまま真っ直ぐ進め。何、足りねえ分はウチのバカ弟子がどうにかするだろ≫
 その誰かが背中を押してくれる。
≪さぁ、見せてみな――≫ 
 にやりと笑って、その誰かが言う。不思議と
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