第二章
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が少し辛くなったように思えた。塩辛く。しかしそれは気のせいではなかった。本当に塩辛くなっていた。それでも美味しく感じた。弟の心をそのまま感じ取ったからだ。
華は光平と付き合うようになった。彼は華の思った通りの好人物であり華のことを優しく守って慈しんでくれた。彼女はこのことに感謝しながらもうすぐ家を出るという翔太を育てていた。彼は見事高校に受かり家を出ることになった。それが決まったがしかし。思わぬことが起こるのだった。
翔太が高校に合格しささやかな祝い事をした次の日。弟の幸せに喜びながら通勤し仕事にかかりだした華のところへ。電話がかかったのだった。
「はい・・・・・・え」
話を聞いて絶句した。その次に顔を蒼白にさせた。その翔太が事故に遭ったのだ。
「それで弟は・・・・・・はい」
心を何とか保ちつつ話を聞く。交通事故に遭ったという。通学中道を横切っているところに居眠り運転のトラックにはねられたのだ。無事を必死に尋ねる。しかし。彼女は入院先を告げられただけだった。
「それで・・・・・・そうなのですか」
とりあえず命は助かったということだけは聞き出すことができて安堵する。しかし。上司に詳細を告げて会社を早退させてもらった。それからすぐにその病院に向かうと面会謝絶だった。そしてそこで弟のことを詳しく教えられたのであった。
「生きてはいるんですね」
「・・・・・・はい」
初老の落ち着いた紳士といった外見の医師が出て来て彼女に告げた。しかしその顔は沈痛なものでありそれだけで弟の状況がわかるものであった。
「ですが意識はありません」
「意識が」
「頭部や脊椎、腰に損傷はなかったのですが」
華はそれを聞いてまずはまた安堵した。その辺りに怪我がなければまずは後遺症の心配はない。そのことにとりあえずはほっとしたのである。
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