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Sword Art Online 月に閃く魔剣士の刃
4 魚人の王
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 ならば方法は一つだけ。イチかバチかだ。

 雷光の如き思考が体に命令を伝える。
 右手の長剣を振るえ、と。

 俺は、生き残るんだ。

 ようやく体が思考に追いついた。トライデントを防ぐ軌道で長剣が切り上げるように振るわれる。
 間髪入れず、重い衝撃と共に甲高い金属音が響き渡った。飛び散った火花がまるでコマ送りのようにゆっくりと視界の隅に流れていく。

 剣はトライデント特有の三叉の穂先、その刃と刃の間を捉えてカチ上げた。
 そして加速していた感覚が少しづつ、元の速度に戻っていく。

 転がっているように視界が何度も回る。気がつくと、あまりの衝撃に吹き飛ばされていたようだ。

 数秒遅れて宙を舞っていたトライデントが大きな音とともに地面に落ちた。HPバーを確認するとイエローゾーン、危険域まで減っていた。

「死ぬかと思ったわ...。」

 思わずポツリと呟いた。すかさずキリトが庇うように立ってくれる。

「大丈夫だな!?大丈夫だよな!?」

「ああ、生きてるよ。」

 言いつつHPハイポーションを飲むと、剣を持ち直してキリトの横に構えた。

「さて...、そろそろ来てくれる頃か?」

 キリトがキングと睨み合ったまま聞いてくる。確かに戦闘開始からそろそろ15分くらい経っていた。

「まあサハギン達に手間取っているだろうからもう少しかかると思うけどな。」

 言いつつ俺は回復待ちだ。数秒間の睨み合い。その間にHPバーのある程度が緑のゲージで満たされる。

「OKだ、いつでも行けるぜ。」
「よし...このまま倒してしまおうか。」
「だな、俺を死にかけさせた罪は重い」

 俺の返しにキリトがクスリと笑う。そしてその軽口に、

「死にかけた貴方の罪も重いですからね」

 と安堵半分、呆れ少しと怒り少しといった声色が後ろから飛んできた。さらに、

「ったく、そのまま死んでたらどうすんだよ!?」
「ボスドロップのメイン仕入先が絶たれたら商売あがったりだ。ちったあ命を大切にしとけよ。」

 男達の低い声が続いた。足音からして3人だけ、先行してきたらしい。

「で、どう責任取ってくれるつもりですか?」

 凛とした、しかし攻略部隊の指揮戦闘の両面で活躍している少女、アスナが詰め寄る。

「...帰ったら何か奢ってやっから勘弁してくれ」

 攻略の鬼に苦笑しつつこう返すと、

「やった!ケーキ確約っ」

 ケーキとは第三層にあるNPC経営の洋菓子屋?にある「ドルツェ・ツィオーネ」の事だ。恐らくイタリア語をアレンジした名前で意味は「甘い誘惑」。
 現時点ではトップクラスに美味しい代わりに同じ街にある武器屋で売っている剣が2本位買えるという恐ろしい代物だ
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