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気高い恋
気高い恋
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て行った。
「あっ」
 彼は一言叫ぶとふもとへと落ちた。最後に重い物が落ちる音がした。
「ペーターが!?」
 ペーターが岩山から落ちたという話はすぐにエヴァのところにも届いた。彼女はそれを聞いてすぐに顔を蒼白にさせた。
「それは本当なの!?」
「ええ」
 彼女によく似た赤い髪の中年の女がそれに頷いた。エヴァの母である。
「何であの山に登ったのかはわからないけれど」
「そうなの・・・・・・」
 彼女はそう答えながらふと気付いた。自分の為なのだと。
「まさか」
「エヴァ、どうしたんだい?」
「お母さん」
 彼女は狼狽した顔で母に声をかけてきた。
「ペーターはどうなったの!?」
「とりあえず今のところは生きているよ」
「今のところは」
 それを聞いてとりあえずは安心しながらも不安は完全には消えはしなかった。
「何かあるの!?」
「大怪我をしていてね」
 母は沈んだ声でそう答えた。
「危ないんだよ。今御前のことを必死で呼んでいるそうだよ」
「私のことを」
「ああ。家のベッドでね。どうするんだい?」
「決まってるわ」
 狼狽は消えていた。彼女の声は毅然としたものとなっていた。
「ペーターのところに行く。いいでしょ」
「ああ」
 母はそれを認めた。
「行っておいで。そうした方がいい」
「ええ」
「けれどこれだけは言っておくよ」
 母は娘に対し一言贈ることにした。
「何?」
「人間ってのはね、一人じゃ生きられないよ」
「一人じゃ」
「そうさ。誰かがいてはじめて生きることができるんだよ。自分を心から思ってくれる人がいてね。わかったかい?」
「・・・・・・・・・」
 今は答えることができなかった。ただ聞いただけであった。ペーターのこと以外考えられなくなってしまっていたからで
あった。
「今はわからなくてもいいよ」
 母はまたそう言った。
「今はね。後でわかればいいから」
「うん」
 頷きはした。だがそれだけであった。
「けれどね」
 だが母はここでまた言った。
「今御前がやらなければならないことはわかってるね」
「私がやらなければならないこと」
「そうさ。エヴァ」
 娘の名を呼んだ。
「すぐにペーターのところへお行き、いいね」
「ええ」
 エヴァはそれに頷いた。彼女も既にわかっていることだったからだ。
「あの子には御前が必要なんだよ、さあ」
「うん」
「そしてね」
 母はさらに一言付け加えた。
「御前は誰と一緒になるべきか、わかってるね」
「ええ」
「ならいいよ。じゃあお行き」
 こうしてエヴァはペーターの家に向かった。家に行くとペ
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