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SAO−銀ノ月−
第短編話
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く。今日も少ない客を揺らしながら、夜中の東京―博多間の輸送に励む。太陽が出始めたら手入れをするために倉庫に入れられ、働くのは夜中とまるで日が当たらない。たまには新幹線のように、太陽の中を走り回ってみたいものだが、まあ寝台列車の私にそれは叶うまい。今日も人の目に触れず博多駅に到着し、日を浴びることも叶わず倉庫へと運ばれる。そして日が落ちた夜、また運行を開始するのだ。

 ……さて、今日も緩やかに東京と博多を行き来する作業が始まるわけだが。いつにも増して客が少なく、楽な仕事万歳な残念な客入りを眺めながら、私を運転する車掌が安全確認を開始する。しかし安全確認が過ぎる。そんなにやらんでも、この時間に何があるわけでもないだろうに――と、おや。

 私に乗るためのホームに、この博多まで来る時に乗ってきていた貧乏学生の姿が見えた。行きも帰りも寝台列車とは、よほどの物好きか、それとも本当に金がないのか。だがそんなことより、急いだ方がいいぞ。もうすぐ発車時刻だからな。
 貧乏学生もようやくそれに気づいたのか、お土産に買ったであろう大量のラーメンを抱えながら、ヒョコヒョコと列車内に侵入する。

本当にギリギリだったのか、車掌が恩情を見せてくれたのか、貧乏学生が乗った瞬間に私のドアが閉まっていく。一息つくのは早いぞ、これから発車の振動でラーメンが落ちるだろうからな。

「発車しまーす」

 車掌の気怠げな声とともに、やはり肌寒いだろう空気を切り裂きながら私、もとい《あさかぜ》は発進する。相変わらず新幹線や飛行機とは違って日の当たることのない話だが、まあこれはこれで悪くない。……やはり車内では、貧乏学生が買いすぎたラーメンを取り落としていた。

 ……では、今日もせいぜい働くとしよう。

 ――そして2005年、3月1日。構造の中古化と集客が望めなくなった《あさかぜ》は廃止となった。ただ、最終列車となった2月28日の寝台券は、発売開始後30秒で完売したという……

コメント:SAOどころか二次創作関係ない。たまには何の創作も関係なしに、一次書いてみようぜ的な企画から。

『春』

「リズさーん! ……あれ?」

 イグドラシル・シティの一等地にそびえ立つ、新生リズベット武具店に、勢いよくケットシーの少女――シリカが飛び込んできた。愛用していた短剣が破損してしまったため、ピナとともに慌ててリズベット武具店に駆け込んだものの、店内にリズの姿はなかった。

「ショウキさんと冒険でも行ってるのかな……あ、時間時間!」

 見回してみてもやはりリズの姿はどこにもなく、メッセージを送ろうとしても圏外と、どうやらリズはそこにいないらしい。すぐにリアルでも予定があるため、仕方なくシリカはNPCに自らの短剣を預け、伝言を残しておく事にする。


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