第短編話
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、ゴホッ」
「里ー香」
やはりリズと呼んでしまう翔希を窘めつつ、予想以上に攻撃が決まったことにほくそ笑む。……というか、思った以上に決まりすぎて翔希が少しヤバい。
「よ、よしよし、大丈夫?」
「ゴホッ、あー……大丈夫。ありがと……ん? これお礼言う必要あるか?」
「それは……その、ごめん」
慌てて翔希の背中をさすってあげると、しばらく経った後に落ち着いたようで、お礼を言いかけるがそもそもの原因があたしなので、首を傾げる結果に終わる。翔希に向かってぺこりと頭を下げると、翔希は気にするなと言わんばかりに手を振ると、二人で落ち着きながら食堂の席に座る。
気がついたらあたしも翔希にももう昼ご飯はなく、翔希がゴクリと最後のお茶を飲むと、それであたしたちの食事が終わる。
「で、どこ?」
「……忘れてなかったか……」
翔希が話をうやむやにしようと、わざと大げさに咳き込んだのはお見通しだ。話を流そうとしたってそうはいかない。幸いなことに食堂も空いているし、このままここで話を続行する。
「その質問は、そっくりそのまま返――」
「普通こういうのって、男の子からしてくれるものじゃない?」
むぐっ……と変な声を出し、台詞を最後まで言い切れずに押し黙るのも、咳き込むのと同様に今度は翔希の番だった。手の上、額の上、頬の上、閉じた目の上掌の上。首か腕か、もしくはそれ以外?
……それとも、唇?
「……リズはどこがいいんだ?」
「えっ?」
翔希から返ってきた答えは、身体の部位でも許しを請う言葉でもなく、まさかの問いかけ。あたしが予想外の言葉に返答に窮していると、そのまま翔希の言葉が続いていく。
「だからさ。リズが言うとこにする」
「むっ……」
翔希からのカウンターをあたしはもろにくらい、攻撃を受けているのはあたしに変わってしまう。男の子〜はもう使ってしまった、もうカウンターには使えない。さて、どうしようかと思っていると。
「唇」
――つい、反射的に。そんな考えていたこと……もとい、頭の片隅にあったことが、口から勝手に。
「……えっ?」
「……唇!」
もはやヤケになって何かもう叫ぶ。そして、その言葉を言った1秒後に後悔が押し寄せてくる。あたしは一体何を言っているんだろう……と思いながら、すぐさま帰りたい衝動に駆られていると、翔希の指が一本差し出された。
翔希の指はあたしの目の前を一回転すると、そのまま小刻みに移動していく。なんとなくそれを目で追っていくと、その指はあたしの唇の前に止まった。
「……唇、だな」
その指は、まるでロックオンでもするかのように。そして、あたしの唇の前で一度旋回すると……あたしの背
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