第一章
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第一章
朝の物語
目が覚めた。また一日がはじまる。
「早くしなさい」
「わかってるよ」
お母さんにはそう言葉を返す。そうしてベッドから起き上がってパジャマを脱ぐ。それからすぐに制服に着替える。
台所に行くともう朝御飯ができていた。こんがりと焼けたトーストにハムエッグとソーセージ、それにホットミルクだった。
「今日はパンなんだ」
「駄目?」
お母さんは洗いものをしながら僕に言葉を返してきた。もうお父さんは仕事に出ていてその分の食器を洗っていた。僕はそれを何となく見ていた。
「それがいいかなと思って」
「別にいいけど」
何となくパンを食べたい気分だった。だから文句はなかった。
「じゃあ早く食べなさい。もうあまり時間ないでしょ」
「うん、まあ」
お母さんの言葉に頷いて席に着く。そうして食べてすぐに席を立った。何か食べるのも随分焦っていた。自分でもそれがわかった。
「食べるの随分早くなったわね」
「そうかな」
お母さんのその言葉にはとぼけた。
「特に朝。どうしたのよ」
「別に」
答えるつもりはなかった。
「何でもないよ」
「そうなの」
「そうだよ。それじゃあさ」
食べ終えた僕は歯を磨いて顔を洗った。髪も少し整えてそれから家を出たのだった。
「行って来ます」
「お弁当は?」
「持ったよ」
それは忘れていなかった。きちんと鞄に入れた。ついでにだけれど今日の時間割の教科書とノートも入れておいた。実は気分的にはお弁当もついでだったけれど。
「それじゃあね」
「車に気をつけてね」
お決まりの言葉を受けて自転車に乗って向かうのはいつもの駅。けれど最近それがいつもの駅じゃなくなってる。それはどうしてかって?すぐにわかるさ。
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