第七楽章 コープス・ホープ
7-7小節
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ろしていたジゼルが、唐突に顔を上げて俺を見上げた。
「この仕事が終わったら、何かしたいことはございませんか?」
仕事が終わってしたいこと――なんて、ルドガー関係を除けば、俺には一つしか思いつかない。
「また4人で集まって騒ぎたいかな。俺とお前、リドウとヴェルの4人で」
――俺たちが飲み仲間になったのは、実は最近だったりする。
元はジゼルが成人した祝いにと飲みに誘ったんだが、最悪なことに、リドウも同じ理由であいつを飲みに連れてこうとしてたんだなこれが。
何で分かったか? 待ち合わせ場所で鉢合わせたんだよ。ジゼルの奴、《呪い》から来る物忘れのせいで、ダブルブッキングしてるのに気づいてなかったんだ。
しかも、睨み合う俺たちに向かって朗らかに、
「いい男はケンカなさっても素敵ですけれど、仲良く飲んでらしたほうがもっと素敵じゃありません?」
などと言い出しやがった。
まあ、行ったけどな。そこで帰ったら俺がリドウに負けたみたいじゃないか。
……その後については割愛させてくれ。俺にもリドウにも黒歴史だ。穴がなくても掘って入りたいレベルだ。あの時ほど個室席で飲んでよかったと思う日はない。
とにかくその時がきっかけで、飲みに行く時は3人で、ってことになったんだよな。
これにジゼルがさらに、入社して間もなくビズリーの秘書長に抜擢されたヴェルを引っ張って来て、4人で飲むのがいつの間にか当たり前になっていった。
「集合場所は、やっぱりわたくしの部屋ですか?」
「俺とヴェルは弟妹と暮らしてるんだ。酔っ払いの口から機密が漏れたら大変だろ。今度はルドガー手作りの肴の詰め合わせ持っていくから、それで勘弁してくれ」
「お酒がヴェルのチョイスなら考えます」
「その辺はお前から説得してくれ。俺は追われる身だ」
「ふふ、楽しみですわね。そうと決まれば、帰って部屋の掃除をしなくっちゃ。あ、お客様用の布団もクリーニングに出さないと」
「呑み明かし前提なのか?」
「前提ですわ。千鳥足のトップエージェントなんて、夢見る女性市民にお見せできません。会社の尊厳に関わります」
次々にしゃべるジゼルの横顔は明るい。やっぱりいいな、こいつのこういう顔は。見てるだけでこっちの気分も明るくなる。明日は今日より佳い日じゃないかと思わせてくれる。
お前は俺に付いて行ってるつもりなんだろうが、逆だよ。俺が、お前の築く「ハッピーエンド」に魅せられて、追いかけてるんだ。
俺だけじゃなく、リドウも、ヴェルも、対策室の連中みんながな。
俺とジゼルで村人にルドガーたちが行った方向を聞き込みすると、「マクスウェルの祠」という社へ村の「外」の人間が向かった、という証
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