第六楽章 呪いまみれの殻
6-3小節
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のはもどかしいものね。
歩行のリハビリ並みに長い時間をかけて、ようようチャージブル大通りのベンチの一脚に腰を下ろした。はあ〜。
「本当に病院行かなくて大丈夫ですか?」
ひまわり色のジャケットの女の子が、わたくしの顔を覗き込んできた。
「ええ。薬は持ち歩いておりますから」
バッグから出したのは、掌を握れば隠れてしまうほどの小さな注射器。リドウ先生開発の、素人でも打てる携帯注射器ですわ。
リドウ先生はこれみたいに、医学が発展した分史世界から医療技術を持ち帰る。知れば「ずるい」と言う人もいるでしょうが、わたくしはリドウ先生を悪いとは思えません。
「あの、さ。俺たち、今日、たまたまジゼルを見かけて。ジゼルのプライベートってどんなだろうって、軽い気持ちで追い回したんだ」
「あまり褒められた行為ではございませんわね」
「悪かったと思ってる。それと、ヴェルから……その、《呪い》について、聞いた」
ルドガーは本当に申し訳なさそうな表情。腹芸ができないのは、まあ、大目に見てあげましょう。
「なら話は早いですね。ご覧の通り、あれが《レコードホルダー》が表に出ている時のわたくしです。気持ち悪くなりました?」
ルドガーも、他の女の子たちも、気まずげに顔を逸らして、わたくしの目を見ようとしない。その仕草はイエスという意味ですね?
ふふ。ルドガーの反応、昔初めて《レコードホルダー》を表に出した時のユリウスせんぱいと全く同じだわ。
言っていいのよ? リドウせんぱいはハッキリ「アレ気味悪いんだけど」とおっしゃいましたもの。
「変! キモチわるくないけど、変だと思う」
「こ、こら、エルっ」
さすが、お子様は容赦がありません。
「だって、じゃあ、ホントウのジゼルはどこにいるの?」
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