異典:第二次聖杯大戦・後編
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八月十一日 零時十五分 臨海公園
“天”の側も攻めるべく、ルミエルと、彼のサーヴァント??“天”のランサーは外に繰り出していた。
当初、“天”のランサーは霊体化したままでいい、と打診したがルミエルの強い要望により、実体化して行動することとなった。
側から見れば美男美女のカップルで非の打ち所がなく、まるで映画の一場面の様に絵になっていた。
ただ一つ。女性が武装していることで雰囲気が異質なモノと化していたが。
外に出てから業務的な事以外、一言も話していなかった二人だが、市内の臨海公園を歩きながらルミエルが切り出した。
「……ランサー。先日の件だが」
「……………」
彼女は表情一つ変えず歩き続ける。
「ランサー」
ルミエルは立ち止まって再度、“天”のランサーに声をかける。
彼女は短く息を吐くと、振り返り、冷たい目でマスターを見据えた。
静かに威圧されたルミエルはそれをものともせず、逆に“天”のランサーを見つめる。
怯まないルミエルに“天”のランサーは短い溜め息をついて応える。
「その件に関して話すこと何も無い」
「ランサー、俺は――」
“天”のランサーは奥歯をぎりっ、と噛み締め怒気をはらんだ声で口を開く。
「マスターの願いは私の願いと相容れない物だ。それでも何故私を……!」
ルミエルは真っ直ぐに“天”のランサーの目を見据え、言い放つ。
「君が、凛々しいからだ」
嘘偽りでも、機嫌取りでも無く、心の底からの言葉だった。
反応を示さない彼女にルミエルは発言を続ける。
「私は、今まで女性というものは信用できなかった。私のこの黒子によって……」
ルミエルは忌々しそうに黒子を撫でた。
「もはや、呪いだと諦めてはいる。だが、それでも私自身、愛する女性を選ぶ権利があるはずだ」
「それが私という訳か……」
「ランサー。君の願いも確かに尊い物だと思う。だが君の願いは――」
そこまでいいかけて、“天”のランサーが茂みを睨みつけた。
「出てこい! 覗き見とは随分な趣味だな!」
声を荒げて威嚇するも、反応はない。
“天”のランサーはマスターとアイコンタクトした後、茂みに突貫した。
「……ちっ」
“天”のランサーの舌打ちにルミエルが視線を上に向けると、白いコートを着た赤髪の少年が茶髪の可憐な少女を抱えて跳躍していた。
大分離れた場所で着地するとマスターと思しき少女はサーヴァントから距離を取るように別方向に走り出す。
“天”のランサーはルミエルに視線を向けるとルミエルは首肯して少女を追っていった。
「ストラーダっ!!」
《Speer angrif》
そして、サーヴァント――恐らく“時”のランサー――が槍の噴射口から魔力を噴出させ突進
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