暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜呪われた魔剣〜
神風と流星
Chapter1:始まりの風
Data.9 シズクの剣

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 赤黒の道化龍(ドラゴン・ジョーカー)を倒した後、俺とシズクはクエストを完了させるためにもう一度小屋に赴き、βテストの時よりも遥かに多い(コル)と経験値、そして俺がこのクエストを受けた目的でもある、とある武器を貰った。

 で、今はその帰り道。

「ねえルリくん。さっき貰ったって言ってた武器って結局なんなの?」

「教えるわけないだろうが」

「え〜……もう、ルリくんのケチ」

「そう易々と他人に自分の手札を教える奴の方がおかしい」

 これは、ドラゴン達と戦う前に俺に武器の強化プロパティを教えてきたシズクに対する皮肉だ。

「つーか何だよあの剣。アニールブレード+6で、内訳が5Q1Dって。頭おかしいんじゃねえのお前」

SAOの武器の強化プロパティには《鋭さ(Sharpness)》《速さ(Quickness)》《正確さ(Accuracy)》《重さ(Heaviness)》《丈夫さ(Durability)》の五種類があり、それぞれ英訳の頭文字を取って、S,Q,A,H,Dと略される。そして数字はいわずもがな強化回数。

 つまりシズクのアニールブレードは速さに+5、丈夫さに+1というとんでもなくリスキーな剣なのだ。

「速さガン上げでそれ以外基本無視……せめてSくらい上げとけよ……」

「あたしのスタイルは速度重視だからね」

「使い手を選ぶどころか、SAO中でお前くらいしか使いこなせなさそうだなその剣……」

「どやあ」

 褒めてない褒めてない。

「あ、街門見えてきたよー!」

「そうだな……って、もう四時五分前だ!急ぐぞ!」

「え!ちょ、ちょっと待ってよ!」

 昨日の今日で既にボス部屋が見つかったらしく、今日もまた攻略会議が開かれるというのだ。昨日と同じ四時から。

 大切な会議に二回連続で遅れてくわけにはいかないので、俺達は全速力で走るのであった。
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