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lineage もうひとつの物語
冒険者
アリ穴四階
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たアリを元気なアリが殺したのだ。
その強靭な顎を使い倒れたアリを脇へ投げ棄てると速度を元に戻し侵攻してくる。

「こいつら狂ってやがる」

ウォレスは驚愕した。
一瞬焦りを浮かべたが遣ることは同じとばかりに剣を振るう。
しかしアレン達が倒したアリの死骸や血によってすでに足元が悪く、しかも後退すればするほど酷くなっていくのだ。
流石のウォレスもこの状況で大アリ3匹を同時に相手にするのは分が悪いようで徐々に追い詰められていく形になっていく。
テオドロスも必死に弓で牽制するが狂ったアリは次々と襲いかかってくる。
ファイアーボールで広範囲を攻撃するもエルフの魔力ではそれほどのダメージを与えることができない。
そして遂に剣がアリの顎に捕まりもう片方の手に持つ盾を弾き飛ばされる。

ちくしょう!左腕で勘弁してやる!

生き残る代わりに盾を弾き飛ばされた左腕を犠牲にすることを選んだウォレス。
首筋目掛け迫るアリの顎へ左腕を差し出したとき銀色に輝くカタナがアリの頭部を切り裂いた。

「まだ働いてもらわないとね」

エレナはウォレスの隣に並びアリを牽制する。

「ありがとう。助かった」

ウォレスは顎に挟まれたままの剣を捻り垂直に持ち上げアリの頭部を真っ二つに切り裂く。
二人になったことにより安定したのを見計らい一気に後退し、前衛に追い付いたときウォレスは叫んだ。

「すまん!魔力がきついかもしれんが一発頼む!」

振り向いた二人のウィザードは示し合わせた訳でもなく異なる二つの魔法を時間差を持って最初はサミエルが唱えた。

「ファイアーボール!」

迫り来るアリの先頭集団が炎に包まれる。
そして次にアーニャが

「フローズンクラウド!」

ファイアーボールをぶつけた同じ場所に今度は氷の結晶を散りばめた極めて冷たい気体が降り注ぐ。
急激な温度差により殻の弱くなったアリを狙い済ませていたウォレスとエレナが簡単に動けなくしていく。
その後ろからテオドロスが脆くなった関節に矢を撃ち込み後方のアリの動きを止めていく。
これで多少は時間が稼げるだろうと思われた。
実際元気なアリが動けないアリを殺そうにも一匹あたり四匹は殺さないといけないのだ。
その時間は若干の余裕をウォレス達に与えることになっていた。
次にこれが破られるとジリ貧だと考えエレナ達と一緒に前衛が戦う場所まで走る。
見るに大分進んではいるようでアリの切れ目が見えている。

「もう後ろを支えることは難しい!ここは一気に突破をはかる!」

アレン、ガンド、ウォレス、エレナの四人を先頭に大アリを薙ぎ倒し、イオ、テオから弓が飛ぶ。

「もう少しだ!サミエル!最後頼むぞ!」

ウォレスの言葉に反応したサミエルは魔法の詠唱を開始する。
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