暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
見える綻び、見えざる真実
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幸せを求めた。答えは、その一つしかなかった。

「私は戻ったら、お母さんの為に袁家を変えようとする。明に腐敗を殺して貰うっていう手もあるけどしない。しても病気になるのを事前に対処するくらい。結局袁家からは逃げないで、お母さんと明と……もちろんあなた達と一緒に中から変える。それがきっと、一番いい」
「んー♪ いいね、それ。やっぱり夕はかぁいいなー♪」
「苦しい。手、痛くないの?」
「痛い! けど夕を抱きしめられるならいいの!」
「明も大概バカだと思う」
「ひひっ、戦バカってよく言うし、あたしは夕バカだねー♪」

 目の前でいつも通りにいちゃつき始める二人。
 ああ、と斗詩の口から吐息が零れた。

――この子達の為に出来る事は……やっぱり且授様を助けることしかないんだ。

 自分が動いて良かったと、心の底から思えた。
 同時進行で進めているモノは……実は現在、追加の情報が入っていた。

――西涼の馬騰の治療に専念してる華佗。その人を無理矢理でも連れてくれば……大丈夫。

 話して素直に来てくれるとは思っていない。有名な為政者の元に居るのなら、劉表の病状は知っていたはずである。なのに動いていなかったならばどういう事か、斗詩も理解している。
 頑固者か、信念を持つモノか、それとも拘束されているか、余所の情報が入らないように手を打たれているか……。

――そろそろ話してもいいかもしれない。

 グッと拳を握って、勇気を振り絞った。
 自分が嘘を付いていた事を正直に話し、彼女達の幸せがもうすぐそこだと教えよう、と。

「あのね――――」
「郭図が出てったって事は軍議終わったんだろ? メシ食いに行こうぜ!」

 言い掛けた言葉は、猪々子の大きな声にかき消された。

「あー、あたしはいいや。夕といちゃいちゃしたいし」
「私もいい」
「んだよ、つれないなぁ」
「ひひっ、猪々子も混ざる? 夕には触らせてあげないけど♪」
「あたいは腹減ったの! それに田豊に触っちゃダメならお前といちゃつくってことじゃなねーか! なんかヤダ!」
「んだよ、つれないなぁ」
「あたいの真似すんなバカ明っ!」
「突っ込むモノがないくせに突っ込みたがるなんて……哀しいやつー」
「お、ま、え〜っ! いい度胸じゃねぇか――――」
「もう文ちゃん! そんな突っかからないの!」

 明と他愛ないやり取りをしていた猪々子を、斗詩は抱きしめて止めた。
 むぅっと口を尖らせてからべーっと舌を出した猪々子は、

「メシ食ってくる! ほら、行くぞ斗詩!」
「あははっ、あんたの負けー。いってらっしゃーい♪」

 斗詩の腕をグイと引っ張って天幕の外に歩き始めた。
 真剣な話を出来る雰囲気でもなく、それに……明の笑った顔が楽しそう
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