暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
見える綻び、見えざる真実
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必ず勝てる。ただ……本当にダメな時は……

「そんな間抜けが相手なら楽だわな」

 郭図のめんどくさそうな一言で、悲哀に深く潜りかけた思考を夕は切り替えた。

「方針は決まり。じゃあ明日からは陣構築と準備。軍議終わり」

 郭図が出て行くのを見送り、残ったのは三人。
 斗詩の顔は、次の戦がどんなモノになるのか分からずに蒼く染まったままであった。
 この二人が信じられるようにと、自分も同じように命を簡単に投げ捨てる側に落としたいのではないか……と、恐怖が心を染め上げる。
 タガが外れかけている自覚はある。生きたいという衝動があろうと、この前の戦を思い出せば明の側に行く方が……心が楽だった。斗詩は生来持つ優しい気性から線を越えていないだけ。

「死にたくない……って考えてるでしょ」

 明の言葉に、ビクリ、と肩を引くつかせた斗詩は、恐る恐るその方を向く。
 のんびりと構えている明が居た。下手をすれば自分も死ぬかもしれないというのに、普段通りの飄々とした態度であった。

「安心しなよ。守ってあげる。絶対に守ってあげるからさ。生きたい生きたいって願って、縋り付いて、足掻いて、もがいて……あんたはそれでいいんだよ」
「ん、顔良が命を使う場所はまだ先。麗羽を守る為だけに、最後の最後でそうなるべき。一割、一分、一厘でも生きられる方法があるのなら、あなたは麗羽と猪々子と共にそれを選択するべき。たった一つの命を輝かせて、幸せを掴もうとするからこそ人は美しい」

 茫然と、斗詩は二人を見つめた。醜くも足掻く様を認めてくれるとは思わなくて。
 同時に気付いたのは一つ。
 彼女達は大切なモノの為なら命を捨てる程の状況に常に身を置いている。だからもう、引き返そうとしても自分と同じにはなれないのだと。

「戻りたい……って思わない? 生きたいって素直に思えた時の自分に」

 ふと、聞いてみたくなった。もし、例えば、彼女達が狂ってしまった原因を取り除けるのなら……そんな可能性を。
 それを聞けば、何かしら彼女達を救えるのではないかとも思った。

「そだねー……やり直せるなら、あたしはまた袁家で夕と一緒に戦うだろうねー」
「ふふっ、そう言うと思った」

 穏やかに笑う夕。信頼と感謝の籠る声と共に立ち上がり、明の膝の上に座った。

「え……昏い場所に身を置くよりも? 且授様が倒れる前に連れ出せるとしても?」

 聞かずにはいられない。もっと他の場所を変えようとするだろうと、斗詩は思っていたのだ。

「何言ってんの? あたしは夕が全てだもん。例え繰り返しても、夕の為にしか動かない。夕の幸せを壊す事なんてしない。元から人殺すの好きになってるしもう問題ない。大好きな夕が幸せを掴めるならそれでいい」

 明は夕の望んだ
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