見える綻び、見えざる真実
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が気付く。明は徐州で郭図が七乃に怯えていたのを見ていたから、気付けなかった。
――どうして郭図さんがこんな簡単に……
考えても、彼女にはこの違和感が何であるのか分からなかった。
「戦略は変わらない。予定通りの場所に陣を組む。麗羽を呼び寄せて陽武に本陣を構えて、烏巣にはまず文醜に向かって貰う。移動櫓はどっちにも振り分けて、受け手の様相で最高の時機を待つべき」
「やっぱり官渡は落とさないの?」
「一度だけ戦闘をする。敵の兵器の力を確かめる為にも。敵側の思考は勝ちに染まるから、染めて染めて染め上げて……最期に引っくり返せば問題ない。これが一番」
その為の必要な犠牲。斗詩は出かけた甘い言葉を必死で飲み込んだ。また兵士を使い捨ての駒にするような方法だ。勝つ為には必須で、無駄な犠牲などとは、口が裂けても言えはしない。
ただ、斗詩はまだ甘い。夕の才がこの程度で終わるなら、覇王が敵と認め、桂花が友とするわけが無い。
「顔良、あなたには官渡を攻める指揮をして貰う。重量武器を使うあなたにしか出来ない事がある」
「あー、それなら使えるな、確かに。クカカっ、いい威力偵察だ」
「そっか! なるほどねー♪」
郭図と明の二人はすぐさま読み取ったが、斗詩はまだ読み取れず。焦りから、疑問をそのまま投げやった。
「で、でも櫓もアレも使えないんだよね?」
「いくら強い兵器でも、当たらなければどうという事は無い。アレを石から守るのが顔良の仕事。敵は城……だからアレの力を見せつけるいい機会。相手の兵器の案も上乗せして返してあげればいい」
「私が飛んでくる石を弾き飛ばすの!?」
「出来るはず……というか出来なければ死ぬだけ。文醜の方が向いてるけど、我慢出来なくて突撃するから却下」
飛んでくる大きな石を壊せと言われて直ぐに頷けるはずもない。力は確かに強い。自分なら、人の大きさくらいの石程度壊せるだろう。動かないモノなら、だが。
「うぅ……ちょこちゃん――――」
「斗詩なら出来るってー。頑張ってー」
明ならどれだけ難しいか分かるだろうと問いかけても、遠い目をして棒読みで投槍に語られ、救いの手など無い事が分かり泣きそうになった。
「大丈夫。顔良なら出来る」
「お前なら出来るさ」
「あんたなら出来る」
三人は極悪人さながらの笑みを浮かべて斗詩を見た。やれ、と言っているのだ。
カタカタと手が震えた。普通に励ましてくれたらいいのにとは言えない。この三人から言われても気休めにすらなりはしない。
死にたくない。けど、勝たないと死ぬだけでもある。勝つためには、やるしかない。
「わかり……ました……」
「ん、決定。指揮負担は明がする。もし、長距離の矢が飛んできても明なら片手で対処出来る。最悪顔良だけ
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