第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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国を……、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている。
「で、でも……」
「でも、なんだい?」
「わ、わたし……、まだ……」
「もう、子供じゃない。君は16だ。自分の事は自分で決められる年齢だし、父上だって許してくださってる。確かに……」
ワルドはそこで言葉を切った。
それから、再び顔を上げると、ルイズに顔を近づけた。
「確かに、ずっとほったらかしだったことは謝るよ。婚約者だなんて、言えた義理じゃないこともわかってる。でもルイズ、僕には君が必要なんだ」
「ワルド…」
ルイズは考えた。
なぜか、ウルキオラのことが頭に浮かぶ。
ワルドと結婚しても、ウルキオラは自分の使い魔としていてくれるだろうか?
多分、それは無理だろう。
もし、あの異世界から来たウルキオラをほっぽり出したら、どうなるのだろう?
キュルケあたりが世話を焼くかもしれない。
そんなのやだ、とルイズは思った。
少女のワガママと独占欲で、ルイズはそう思った。
ウルキオラは……、無口でムカつくけれど、他の誰のものでもない。
ルイズの使い魔なのだ。
ルイズは顔をあげた。
「でも、でも……」
「でも?」
「あの、その、わたしまだ、あなたに釣り合うような立派なメイジじゃないし……、もっともっと修行して……」
ルイズは俯いた。
俯いて、続けた。
「あのねワルド。小さい頃、私思ったの。いつか、皆に認めてもらいたいって。立派な魔法使いになって、父上と母上に褒めてもらうんだって」
ルイズは顔をあげて、ワルドを見つめた。
「まだ、わたし、それができてない」
「君の心の中には、誰かが住み始めたみたいだね」
「そんなことないの!そんなことないのよ!」
ルイズは慌てて否定した。
「いいさ、僕にはわかる。わかった。取り消そう。今、返事をくれとは言わないよ。でも、この旅が終わったら、君の気持ちは、僕に傾くはずさ」
ルイズは頷いた。
「それじゃあ、もう寝よっか。疲れただろう」
それからワルドはルイズに近づいて、唇を合わせようとした。
ルイズの体が一瞬強張る。
それから、すっとワルドを押し戻した。
「ルイズ?」
「ごめん、でも、なんか、その…」
ルイズはもじもじとして、ワルドを見つめた。
ワルドは苦笑いを浮かべて、首を振った。
「急がないよ。僕は」
どうしてワルドはこんなに優しくて、凛々しいのに……。
ずっと憧れていたのに……。
結婚してけれと言われて、嬉しくないわけじゃない。
でも、何かが心にひっかかる。
ひっかかったそれが、ルイズの心を前に歩かせ
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