第2部 風のアルビオン
第5章 出港までの休日
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港町ラ・ロシェールは、トリステインから離れること早馬で2日、アルビオンへの玄関口である。
港町でありながら、狭い峡谷の間の山道に設けられた、小さな街である。
人口はおよそ300ほどだが、アルビオンと行き来する人々で、常に十倍以上の人間が街を闊歩している。
狭い山道を挟むようにそそり立つ崖の一枚岩をうがって、旅籠やら商店が並んでいた。
立派な建物の形をしているが、並ぶ建物の一軒一軒が、同じ岩から削り出されたものであることが近ずくとわかる。
『土』系統のスクウェアメイジたちの巧みの技であった。
峡谷に挟まれた街なので、夜の暗さが一層増している。
ラ・ロシェールで1番上等な宿、『女神の杵』亭に泊まることにした一行は、一回の酒場で、くつろいでいた。
『女神の杵』亭は、貴族を相手にするだけあって、豪華なつくりである。
テーブルは、床と同じ一枚岩からの削り出しで、ピカピカに磨き上げられていた。
顔が映るぐらいである。
そこに、『桟橋』へ乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが帰ってきた。
ワルドは席に着くと、困ったように言った。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに」
ルイズは口を尖らせている。
ウルキオラが口を開いた。
「なら、俺一人でアルビオンに行き、手紙を回収するか?」
その言葉にワルドは動揺した。
「い、いや、それはダメだ」
「なぜだ?」
ウルキオラは怪訝に思った。
「君1人では向こう側への信頼が足らないからだ」
「確かにそうだな」
ウルキオラはワルドの答えに同意した。
ギーシュはホッとした。
ギーシュは風竜の上で目を覚ましていたのだ。
(これで明日は休んでいられる)
ギーシュはため息をついた。
「あたしはアルビオンに行ったことないからわかんないけど、どうして明日は船が出ないの?」
キュルケの方を向いて、ワルドが答えた。
「明日の夜は月が重なるだろう?『スヴェル』の月夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最も、ラ・ロシェールに近づく」
ウルキオラは表情を変えずに話を聞いている。
(潮の満ち引きでも関係してるんだろうか…潮の干満は月の動きで決まるからな)
「さて、じゃあ今日はもう寝よう。部屋を取った」
ワルドは鍵束を机の上の置いた。
「キュルケとタバサは相部屋だ。そして、ギーシュとウルキオラが相部屋。僕とルイズは同室だ」
ギーシュはウルキオラを見て少し怯えた。
「安心しろギーシュ。俺に睡眠は必要ない。お前たちの警護でもしてやろう」
ワルドは少し目を見開いた。
「睡眠が必要ない?」
ウルキオラ
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