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とらっぷ&だんじょん!
第二部 vs.にんげん!
第27話 くそやろう!
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ない」
「おいおい、直接シェオルの柱を壊したのは俺だぜ?」
「礼ならもう言った」
「嫌味なら何度でも言うくせにな」
 オイゲンがカウンターの向こうから、石のように固いバケットと何だかよくわからない物体の入ったスープを寄越した。
「味についての苦情は受け付けないぜ。昨日の残り物だからな」
「親父の場合どっちでも変わらねえだろ?」
「普通は一晩おいた方が素材の味が出て旨くなる筈だがな……」
 と言いながら、ウェルドはバケットをスープにつけて食べられる固さになるまでふやかし、ディアスはスプーンをスープボウルに突っこんだ。オイゲンは眉を垂らして嘆いた。
「本当にかわいげのねぇ……」
「誰だって同じことを言うさ。大体、こんだけ長く毎日同じ料理をやってりゃ嫌でも上手くなると思うんだがな」
「よっぽど才能がねえんだな」
「……」
「どうしたディアス、深刻な顔しやがって」
「タオルの味がする……」
「どういう事だ、おらぁ!」
 ディアスはオイゲンの剣幕を物ともせず、もう少し詳しく言った。
「しかもカビの繁殖したタオルだ」
「うるせぇっ、どうせ俺が毎日食器拭いてるタオルは洗ってねえもんでカビが繁殖してらあ」
「きったねぇな親父!」
 笑いを押し殺しながら様子を見ていたバルデスが、床におろしていた大剣を担ぎ上げた。
「じゃあな、俺はそろそろ行くぜ」
「お、おう。また後で来いよ」
 行こう、とバルデスはクムランに声をかける。それでウェルドも、クムランがいた事をやっと思い出した。
 クムランは物思いに沈み、存在感を消していた。その横顔は沈鬱だ。
「……あ、ああ。すみません。ぼうっとしておりました」
 クムランはまるでウェルドもディアスも見えていないようだ。バルデスが背中を軽く叩く。
「いいぜ。むしろよく提案してくれた」
「ですが……」
「俺はやると言ったらやるさ」
 二人が出ていってから、ウェルドは尋ねた。
「何かあったのか?」
「……まあ、はっきりした事が決まるまでは何も言えんさ。じきにわかるからそれまで待て。それよりお前ら聞いたか? おとといの?」
「おととい?」
「開門日に出てった奴らのことだよ」
 そう言えば、昨日アーサーが何か言いかけていた気がする。あの後宿舎の裏手の片付けが大変で、すっかりそれっきりになっていたのだ。
「いいや」
 オイゲンは組んでいた腕をほどき、だらりと体の横に立らすと、何かに耐えるように少しの間目を閉じてから言った。
「全員殺された」
 一瞬、体が力み、柔らかくなったバケットが手の中でぐにゃりと歪んだ。ディアスも無関心を脱ぎ捨て、顔を上げてオイゲンを見つめた。
 反射的に口を開いたが、声が出なかった。
 殺された、殺された、と頭の中で繰り返し、意味を充分理解してからよう
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