第198話 紺色の妖精と紫の妖精
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問い掛ける。
ト「ここにいたら、皆さんとても危険ですので、お化け達に手伝ってもらって安全な場所に避難させてもらうんです。あ、お化け達にお願いして、自分達の魔力で地上に来ているから僕の事は大丈夫ですよ。」
兵16「いや・・えっと・・・」
ト「あ、出来れば他の悪魔さんと戦っている、他のギルドの皆さんや王国軍と軍隊の皆さんも、魔法部隊の皆さんも連れて避難して頂ければ光栄です。」
にこやかな笑顔を浮かべて淡々と語っていくトーヤに、兵士はそれ以上聞く事が出来なかった。
て「トーヤ。」
ト「どうしたの、てんぐ?」
トーヤが初めて契約して友達になったてんぐがトーヤに歩み寄る。
て「・・本当に、お前1人で大丈夫なのか?戦力になる、俺や死神、鬼達や狼男を残していった方が良」
ト「大丈夫だよ、てんぐ。」
「良いんじゃ・・・?」と言いかけたてんぐの言葉を遮るように、トーヤが口を開いた。
ト「君達は僕の大切な友達なんだ。そんな大切な友達を、僕はもう、傷つけたくない。それに、僕は妖精の尻尾の魔道士なんだよ?悪魔1頭くらい1人で倒せなきゃ、妖精の尻尾の名が廃っちゃうよ。」
て「・・・で、でも」
ト「大丈夫。」
トーヤが優しく、てんぐの両肩に両手を置いた。
ト「・・・必ず、必ず帰って来るから。だからてんぐ、僕が帰って来るまで、皆の事をよろしく頼んだよ?」
て「・・・・あぁ。」
どこか寂しげで、悲しそうで、小さくて儚い笑みを浮かべるトーヤの穏やかな紫色の瞳から思わずてんぐは目を逸らして頷く事しか出来なかった。
てんぐの肩からトーヤの両手が離れると、トーヤは羽織っている黒いローブの裾をひるがえしながら言葉を紡いだ。
ト「我と契約し全ての怪物達に告ぐ!ここからの経緯を全ててんぐに話したっ!ここからは、僕と皆は別行動だっ!皆はてんぐの指示に従って動いてくれっ!ドムス・フラウの前で再会しよう!」
運良く誰にも気づかれなかったが、トーヤの右頬を一筋の涙が伝った。
その後、兵士達はお化け達と共にその場を後にした。最後に取り残された者がいない事を確認したてんぐが、トーヤの横を通って去り際に小さく呟いた。
て「必ず、必ず帰って来い・・・!それだけを、俺は祈っている・・・」
ト「・・・うん、約束する。」
お互い顔を伏せており、笑っているのか、泣いているのか、怒っているのかさえも分からなかった。
ト「(てんぐ、最後の最後まで・・迷惑を掛けてゴメンね・・・約束、守れなかった時は・・・皆の事を、よろしく頼んだよ・・・・)」
一度止まったはずの涙が、再び溢れ出してきた。
最後に短く言葉を交わした
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