第198話 紺色の妖精と紫の妖精
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びながら、兵士達は一目散にその場から逃げ出した。
兵12「うわっ!」
1人の兵士が、落ちて来た瓦礫に躓いて転倒した。起き上がって逃げても、瓦礫はすぐ頭上にまで迫って来ていた。兵士は仰向けに倒れたまま目をギュッ!と固く閉じ死を覚悟した―――が、
兵12「・・・・あ、あれ・・・?」
いつまで経っても瓦礫は落ちて来ない。恐る恐る目を開け後ろを振り返ると、
赤鬼「大丈夫かぁ?」
頭に生えた1本の角、真っ赤な体に口の端から覗いている鋭い牙、腰には黄色と黒のパンツに、左手には無数の棘が付いた黒光りする金棒―――――瓦礫を右手で支えている赤鬼が兵士の顔を心配そうに見つめていた。
兵12「ギャアアアアアアアアアアアアアア!」
兵士は赤鬼の顔を見るなり、四つん這い状態のままその場を這って去った。その兵士の他にも逃げ遅れた兵士が多数おり、皆青鬼や黒鬼、緑鬼や黄色鬼に助けてもらっていた。が、やはり鬼の顔を見たら全員這って去って行った。
兵13「な・・ななな、何だコイツ等はァ!?」
兵14「悪魔の次は鬼かよっ!?」
兵15「勘弁してくれェーーーっ!」
背後には悪魔、前方には鬼という、絶体絶命の危機に立たされた兵士達はその場で頭を抱えて蹲ってしまった。中には半ベソをかいている兵士もいる。
そんな絶望的な場面で、鬼の背後からひょこっと顔を出した妖精が1人―――――。
ト「み、みみみ、皆さん!落ち着いて下さい!大丈夫です!ここにいる鬼達は皆、僕と契約してる鬼達なのでっ!」
兵全「・・・・へっ・・・?」
顔を上げた兵士達に、トーヤはニコッと笑いかけた。
ト「鬼達ありがとう。お陰で誰も死なずに済んだよ。」
トーヤは自分の身長の倍はある鬼達に向かってペコッと可愛らしく頭を下げた。それに対して鬼達は、嬉しそうに笑う者もいれば、恥ずかしそうに照れる者も、「当然」と言いたげな顔をしている者がいる。
ト「本当にありがとう。でも、もう一仕事頑張ってくれるかな?」
トーヤの問いに、鬼達は全員「おおーっ!」と腕を突き上げたり、金棒を振り回したりして応えた。
それを見たトーヤは、自分の胸に左手を置くと呪文のような言葉を紡いだ。
ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!全ての怪物達よっ!!」
トーヤが叫んだのと同時に、地面や空中やら至る所に紫色の魔法陣が浮かび上がり、そこからミイラや透明人間、ドラキュラや死神、ろくろっ首や一つ目小僧、化け猫や座敷わらし、ユウとレイ、魔女やゾンビ、雪女や河童、狼男やてんぐなど、トーヤと契約しているお化け達が集結した。
兵16「ト、トーヤさん・・これは、いったい・・・?」
1人の兵士が恐る恐るトーヤに
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