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【SAO】シンガーソング・オンライン
外伝:それが自分だから
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「確かに。自分から攻め込む事を捨てれば投げ技なんかも向いているかもしれません」
「とのことだけど、どうするのお兄さん?」

俺にも戦える可能性が残されている、か。
ただひたすらに歌に続けたSAO時代、そして冒険もせずに歌いまくっている現代。
その両方において、俺はフルダイブ型MMORPGの楽しさの真髄を味わっていない。
というより、もう自分には無理なのだとさえ思っていた。
それが、今になって可能性が浮上した。

俺は一通り話を聞いて吟味し、深く悩んだ。
そもそも刃物を持っての暴力も、素手の暴力も俺は好きではない。
しかし、その恐怖を克服すれば今とは違う人生の楽しみ方が見えてくるかもしれない。
ユウキたちが見る中で悩み、やがて俺は一つの結論に至った。

「それ、練習に時間を割いてる期間はライブ出来なくなるけどお前らそれでもいい?」
「禁断症状出るからやめて……!」
「それはよくない」
「ダメ!」
「全然だいじょばない」
「駄目ですね」
「却下ぁ!」

そしてこの掌返しである。
しかも、よく聞いてみれば結局モンスター相手に勝てるようになるとは一言も言っていないのだ。
じゃあ意味ないじゃないか。
デュエルなんてやらないし、武器になるものギターしか持ってないし。
実はギターは形状のせいか両手斧スキルが使える……らしい。試したことはないが。

「じゃ、この話は白紙だな」
「ぶーぶー。せっかくお兄さんも冒険に連れだせるチャンスだと思ったんだけどなぁ……」

不満顔のユウキは頬をふくらましてぶーたれている。
面白いので頬のふくらみをつついてみると、プスーと音を立てて口から空気が抜けた。余りに間抜けなので少し吹き出してしまう。
が、少々調子に乗りすぎたせいでユウキに怒りの足先スタンプを喰らってしまった。
少々気が短くて意外と根に持つ子なのだ。
まぁ、ペインアブソーバのせいで大した痛みはないが。

「むー!乙女の柔肌は気軽に触れちゃいけないんだよ!僕のほっぺたで遊ぶの禁止!」
「ならユウキは俺の耳で遊ぶの禁止な?」
「むむむー……ならやっぱり訂正。ほっぺで遊んでいいよ」
「………そんなに人の耳が触りたいかね」

彼女のこのような所はどうにも理解できない。
「どういう事か分かるか?」とリーファちゃんに聞いてみたが、「よっぽど気にいられたんじゃないですか?」と苦笑いで返されただけで終わる。
ここはモテる男のキリトにでも聞こうかと思ったが、よく考えたらあいつは無自覚タラシの類だから役に立たなかった。

しかし、そこまで人の歌に拘らなくとも良いだろうにと思う。
どうせだから他の連中を代打にして演奏でもさせればいいのにと思うのだが、最近の俺は音楽妖精(プーカ)の重鎮という扱いらしい。人伝に
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